Tuesday, August 28, 2012

製品デザイン特集 ~過去の関連記事から

 
製品デザインの重要性(そしてこの分野で日本企業が全般的に劣勢ではないかということ)は兼ねてより言われていますが、当ブログでは過去に何度も製品デザインについて取り上げています。
 
 
GMはなんと、中国でデザイン!?

2006 ベスト製品デザイン ~ かつて”マネシタ”と揶揄された松下の躍進
 
創造性の時代が来た! (デザイン戦略の重要性)
 
韓国企業は製品デザインでもリード?」 
 
 
 
 

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Saturday, July 07, 2007

任天堂”Wii”、成功への道のり

How the Wii is creaming the competition"
 
~ BUSINESS 2.0 Magazine Web Site / CNN Money.com
 
 
任天堂はゲーム機ビジネスで、ソニー、マイクロソフトの後塵を拝し、長く低迷の中にあったわけですが、ここ数年の間に、DS、Wiiというヒット作を連発して目覚しい復活を遂げてきています。前回の記事でも触れたように、「革新的な企業」ランキングに登場してきましたし、『スーパーマリオブラザーズ』、『ドンキーコング』、『ゼルダの伝説』といったヒット作品を生み出した同社のカリスマ、宮本茂氏は、先ごろTIME誌が選定した世界で最も影響力のある100人の中に選ばれました。また、同社の岩田聡社長も、以前から注目の若手経営者として脚光を浴びています。
 
この記事は、その任天堂が、どのようにしてDS、Wiiといったヒット作を世に送り出したかについて取材したものです。Wiiが出て既に時間も経ちましたが、今後、ビジネス書やビジネス・スクールのマーケティングのケースにもとり上げられそうなトピックです。かいつまんで、内容をご紹介しましょう。
 
 



 
 

任天堂がこの復活を遂げられた大きな要因の一つは、最大、最強の競合であるソニー、マイクロソフトと同じ土俵で真っ向から闘うことを避けることを選んだからですね。岩田氏、宮本氏ら同社の経営トップは、このままではゲーム市場は一向に広がらないと考え、従来のコアなゲーマー層以外へと利用者を広げられるような製品の提案を考えました。そのために、特に、長い間手付かずにしておかれたゲーム・コントローラーの形状や機能をどんなものにしてゆくかに、徹底的にこだわったようです。
 
こうした考えのもと、任天堂が5年前に最初に手がけ始めたのが、”DS”でした。幅広い層の人たちにとって使いやすいものになるように、従来のボタンによるコントロールだけでなく、タッチペンや音声認識なども盛り込みました。また、同じ理由で、永年親しまれてきた Game Boy の名とも訣別したのでした。
 
その間、宮本氏らは、”たまごっち”のようなペット育成シミュレーションゲーム、Nintendogs / ニンテンドッグ を導入し、これがヒットして女性層を開拓、さらに、Brain Age / 脳を鍛える大人のDSトレーニング が、ベビー・ブーマー層から一部シニア層まで取り込むことに成功し、DSはヒット商品となったのです。
 
 
この成功に続いて、任天堂の経営陣は、ワイアレスで、利用者の動きに合わせて反応するコントローラー ~ 革命的なユーザー・インターフェース ~ を採用したゲーム機を創り上げたいと考えていました。従来のコントローラーの発想を超越した革新的なアイデアでしたが、同時にここで考えたことは、強力なチップを用いて、画像の精細度、美しさをまでをも追い求めるかどうかということでした。結論は、既存のチップを用いることにしました。ソニーやマイクロソフトが覇を競うその同じディメンジョンからは離れて、一線を画すことにしたのです。このようにして、コード・ネーム Revolution (革命)と名づけられたプロジェクトが始まりました。
 
経営陣は、幅広いユーザー層を想定した製品の使い勝手のために、サイズやデザインのシンプルさに徹底的にこだわって議論を重ねたようです。
 
こうして出来上がった製品は、市場調査にかけられましたが、そこで得られた反応は、期待通りのもので、新しく取り込みたいと願った層も、容易に慣れて、楽しめそうだとの強い感触を得ました。
 
 
上市に際しては、テレビCM予算の70%を、25~49歳の層がよく見る番組に投下したそうです。また、高齢者が好む雑誌(Reader's Digestなど)にも広告を出稿。従来の任天堂のコア・ユーザー/ゲーマーには、インターネットによるアプローチを用いました。
 
さらに特筆すべきなのは、キラー・アプリケーションとなることが期待された”Wii Sports”を、$250の本体1台購入に対して無料で付けたことです。実はWiiは、本体1台あたり$50ほどの粗利を生んでいたので、このコストもそこでカバーすることだ出来たのです。そして、このことも、実は経営陣が最初から目指したもう一つの”目標”でした。
 
 
こうした結果、Wiiは大ヒット商品の仲間入りをし、今も(彼の地でも)品薄状態が継続しているようです。
 
 
 
任天堂は、ゲーム人口の拡大を考え、新たな層に訴求するための商品開発を始めました。こうすることで、”ゲーム”と一括りにしてしまえばそれまでですが、ソニー、マイクロソフトとの真っ向勝負を避け、異なった土俵で闘うことを選ぶことになりました。
 
しかも、従来、ゲーム機本体では赤字からせいぜいトントンで、ゲーム・ソフトのヒットに収益を依存するという業界のビジネス・モデルにも別れを告げていたわけです。
 
なぜ、あの会社は儲かるのか?』(山田英夫、山根節 日本経済新聞社)によれば、例えば、ソニーはプレイステーション2の本体1台を売るごとに、粗損が1~2万円程度出ると言われていたそうです。恐らくかつての任天堂も同様だったでしょう。それが、土俵を変えることによって、本体からも利益を生み出せるビジネス・モデルを構築していたわけですね。或いは、土俵を変えたからこそ、新しいビジネス・モデルを手に入れられたのでしょう。
 
 
今回、任天堂の岩田社長のインタビューをウェブ上で読みました。どんな風にお考えになってきたかがよく解りました。非常に明確なビジョンをお持ちになった、優れたリーダーでいらっしゃいますね。
 
 
さて、その任天堂さん、次の一手はどんなものになるんでしょうか? (その前に、長引く人気商品の品薄状態という事態を、どのように着地させるのかも見ものではないかと思っていますが。。。) 楽しみですね。
 
 

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Friday, June 01, 2007

世界で最も革新的な企業 2007

2007 Most Innovative Companies
 
BusinessWeek.com / Official site of BusinessWeek, May 03, 2007
 
 
BusinessWeek誌の最新号には、世界で最も革新的な(イノベーティブな)企業が特集されており、そのトップ50社が紹介されています。(ボストン・コンサルティング・グループとの共同企画)
 
詳細は、当該サイトにてチェックしてください。ここでは、トップ3と日本企業のみを。1、2位は納得。どっちかがトップでしょうね、今の雰囲気では。(Appleはこれで3年連続とのこと。)
 
1. Apple
 
2. Google
 
3. Toyota
  
トヨタ、革新的なんですね~ ハイブリッドが高く評価されています。寸評によれば、”セクシーではないが、効率的な革新へのアプローチは、世界の手本”とのこと。セクシーじゃないのも、どうでしょうか?なんて言ったら贅沢でしょうか。(トム・ピーターズは、何て言うかな?)
 
10. Sony
 
色褪せた感はあるけれど(失礼!)ソニーが10位。ソニーに関しては、当ブログのこちらの記事(「ソニーの大改革 ~ ハワード・ストリンガーはソニーの輝きを取り戻せるか」(2006年6月20日))もご参照ください。(ライバル?、サムスンは今回17位)
 
12. Honda
 
ホンダが前年23位から大躍進。燃費効率の良い法人用小型ジェット機についても触れられています。
 
39. Nintendo
 
前年の圏外(100位より下)からランクイン! ”Wii”の成功が効いてますね。
 
 
革新的な”大企業”というリストですが、その50社中、ほとんどアメリカ企業ですね。ヨーロッパ企業も少ないです。日本企業は4社。韓国は、LGが49位くらいに入ってます。
 
 

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Saturday, May 05, 2007

GMはなんと、中国でデザイン!?

Made in China
 
Fast Company official web site / Fast Company April 2007
 
 
トヨタの攻勢の前に後退に次ぐ後退を余儀なくされている感のある、しかし今でも世界最大の自動車メーカー、GM(ゼネラル・モータース)が、新型Buick LaCrosse (セダン)のデザインを、なんと中国のデザイン・センターで行っているという記事。
 
広大なる中国市場を意識しているとは言え、大胆極まりない試みです。それこそ、物真似、著作権侵害で悪名高いのに、オリジナルの、しかも世界を唸らせるデザインなど期待できるのか、というところですが、果たしてどうなりますか?
 
 
昨晩(5月4日(金))のテレビ東京系列ワールド・ビジネスサテライトでは、日本の商業デザインについて特集していました。グッドデザイン賞の審査委員長をされている内藤廣・東京大学大学院教授が、韓国を引き合いに出して、日本企業の(経営陣の)デザイン軽視の姿勢に、強い危機感を口にしておられたようです。(グッドデザイン賞主催者公式ウェブログ
 
 
当ブログでは、過去、商業デザインについてとり上げて、韓国企業の製品デザインへの注力へも着目しています。
 
2006 ベスト製品デザイン ~ かつて”マネシタ”と揶揄された松下の躍進」 2006年11月29日
 
韓国企業は製品デザインでもリード?」 2005年7月27日
 
 
コスト競争力を失った日本企業にとって、デザインは一つの有力な差別化への道だった筈なのに、それも険しいようです。ヨーロッパ企業にはなかなか追いつききれず、韓国企業の台頭を許し、中国企業までも相手にしなくてはならない日が近づいてるんでしょうか。
 
 

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Monday, February 19, 2007

松下電器の改革 ~ 中村邦夫氏の功績

昨年11月下旬の当記事で、『Business Week』誌の”Best Product Design 2006”における松下電器の大躍進をお伝えしました。中村邦夫氏の改革がもたらした数多くの成果の一つと言える出来事でした。
これに関連して、当時、中村氏とその改革に関する本を探したものの、あまり目ぼしいものがなかったですが、この度、氏の(改革の)原点と言えそうな米国駐在時代から交流のあるフランシス・マキナニー氏による新刊が登場です。
 
松下ウェイ - 内側から見た改革の真実』 フィランシス・マキナニー ダイヤモンド社
 
 
マキナニー氏はコンサルタントとして、もともと(米国時代の)中村氏に影響を与え、帰国後の改革着手への背中を押すことになった方のようですが、そのマキナニー氏が、中村改革後の松下電器に関して、中村氏から社内関係者へのフリー・アクセスを認められた上で、詳細な分析ルポを纏めた作品のようです。
 
 
ありがとうございます。
 
 

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Thursday, January 11, 2007

最高の職場(働きがいのある会社) ベスト100 2007年版

100 Best Companies to Work For : 2007
 
FORTUNE / CNNMoney.com
 
 
もう恒例になりました『FORTUNE』誌の企画”100 Best Companies to Work For”が、ウェブサイト上で発表になっていますね。昨年のものもここでとりあげましたが(2006年2月4日付)、参加企業はさらに拡大している印象です。優れた職場・働きがいのある会社であること(を示すこと)は、優秀な従業員を獲得し、さらには引き止めておく上で重要な要件であるということでしょう。
 
そして、今年のNo.1は、そう、Googleです。
 
 
内容はまた後でご紹介できればと思っています。
 
 
ありがとうございます。
 
 

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Saturday, December 09, 2006

新鮮なアイデアを求めるなら“クラウドキャスティング”を ~ 事業戦略の立案にオープン・ソースを持ち込むアメリカ企業の試み

"Want fresh ideas ? Try 'crowdcasting'" 
 
Business 2.0 / CNNMoney
 
 
今年、最も読まれたであろうビジネス書あるいはウェブ/インターネット関連書籍の一冊、『ウェブ進化論 - 本当の大変化はこれから始まる』(筑摩書房)の中でも著者の梅田望夫氏は、この進化を支える大きな潮流として“オープン・ソース”という概念を再三にわたって挙げている。(梅田氏関連記事
 
一般的にはソフトウェア開発などITの世界の大きな流れとして受け止められてきたと思うが、アメリカではビジネスの世界(ITもビジネスの内と言えばそうだが)にも、こうした“傾向”が現れているという記事。大企業が、MBA学生や外部の研究者・専門家の意見を広く募ろうとする試みが動き始めている。
 
 
最近、アメリカの大手企業が、将来ビジネスリーダーになることが期待されるMBA学生達に、各企業が直面する問題を解決し、競争力を維持するための方策の立案を委ねる動きがあるという。企業の基本的な戦略までをもオープン・ソースに委ねようとする試みである。
 
このような企業からの商品/サービス開発や戦略立案に関する依頼に対し、学生らがアイデアを競うコンテストの枠組みや場を提供する企業が現れ、この動きを支えている。このようにオープン・ソースで外部の知見を広く募ろうとする動きは、crowdcastingと呼ばれている。
 
依頼する企業サイドとしては、高いレベルで学ぶMBA学生らから優れた考察やアイデアを得て、事業を刷新したり、活性化させたい。一方で、こうした学生たちは、各企業にとって将来、非常に重要な顧客になる可能性が高いという期待もある。
 
Idea Crossing社(カリフォルニア州)はスタートアップ企業だが、Innovation Challengeという優れたアイデアを募るコンペを主催している。同社には、IBMやHilton Hotelsなどが$50,000でこうしたコンペの開催を依頼しているし、また同社では自ら開発したコンペ用のWeb Platformを利用する企業からも使用料をとっている。その他、同社のクライアントの中には、US Postal Service (郵便)や、イリノイ州政府などの公的部門も含まれる。
 
2004年のInnovation Challengeでは、通信大手のSprint社が、高速ワイアレス技術を活用した新サービスのアイデアに関するコンペを依頼したし、2005年にはIBMが中国、インドへの進出の方策を両国からのMBA学生を集めたグループに依頼した。HiltonのマーケティングVPは、同じく2005年のコンペから優れたアイデアを得ることが出来て、従業員間のサービスに関する意識を高めることが出来た ~ “企業が顧客にサービスを提供する場合、そこには人の顔が見えていなくてはいけないし、温もりが伝わらなければならない” ~ としている。(具体的な施策の一つとして、宿泊客に部屋をカスタマイズさせるようにしたそうだ。) 同社は今年もコンペに参加しており、若い世代のビジネス・リーダー(まさに彼ら、コンペ参加者達のことである)を惹きつけるにはどうすれば良いか、を問いかけている。同社のInnovation Challengeに対する企業の関心は年々高まっているという。
 
今年のInnovation ChallengeのコンペはDaimler Chrysler社(ベイビー・ブーマーへの訴求)と、前述のHilton社からの依頼で、優勝者には$20,000が贈られるという。(加えて、恐らく採用面接の機会)
 
大手製薬企業Eli LillyからスピンオフしたInnoCentive社(マサチューセッツ州)もこうしたコンペの主催、マネジメントを行う企業で、こちらもBoeing、DuPont、Procter&Gamble(P&G)らの優良、多国籍企業がクライアントである。これらクライアント企業は$80,000を支払ってInnoCentiveの会員企業となり、一見すると解決不可能/困難というような問題をそれでも解決しなくてはならないような場合にInnoCentiveに依頼して、科学者や大学、その他研究機関に対して問題を投げかけさせる。クライアント企業側は、問題が解決すればそれに応じて更にコミッションを支払う。
 
MITビジネススクールのフランク・ピラー教授: “通常、新製品を上市するのに何年もの時間と莫大な費用がかかることを考えたら、こうしたオープン・ソース・イノヴェーションは非常に魅力的なはずだ。”
 
Whirlpool社のシュナイダー氏: “新しいアイデアというものは誰からでも生まれてくる可能性があると信じている。決して、R&D部門で働いている人間からだけではない。”
 
昨年のコンペ優勝者Alejandro Corpeno氏: “その問題がごく普通の問題に見えたとしても、そこに普通ではない解決策を提案することだ。”
 
Idea Crossing社創業者Anli Rathi氏: “それが外部のものであろうとも斬新なアイデアに関心を示す企業は必ずある。きちんとしたコミュニケーションの道筋を作ってやればいいはずだと思った。” (氏は、もともと自らが開発したペンの大きさのスキャナー技術をある技術開発企業に売り込めたという成功体験から創業した。)
 
こうしたcrowdcastingは、教育水準の高いアウトサイダーからの優れた知見を得られることと、そのことによってどうしても内向き・閉鎖的になる企業文化を打破するという効果ももたらす。但し、crowdcastingの対象は、慎重に選出された人々のグループのみである。コンペの参加者は秘密保持契約にサインし、成果はクライアント企業に帰属する。
 
GEのExecutive、Ligouri氏: “こうして外部に企画立案を委ねることは、一般的に言って、組織内で一定の権力を握るものにとっては、彼らの存在を脅かす脅威になる。しかし、それこそが成長し変化してゆかなくてはならない企業にとっては本来、不可欠なことなのだ。”
 
 
しかし、これは例えば、リナックスであったり、あるいはウィキペディアに対するボランティア的な働きかけとは異質のものだ。リナックスなどがすべての人々に利益をもたらしうるものである一方、やはりここでの成果物は依頼元企業に帰属し、その企業の営利目的に活用される。(もちろん、その結果、ユーザーや顧客が便益を享受することにはなるが) あくまでもコンペであり、参加者にも優勝賞金などのインセンティブも用意されている。
 
GEの人の言葉通り、こうした企画を外部に委ねるのは、自分達に限界があると認めるようなもので、抵抗する層もあるだろうが、こうした外部の“リソース”さえも上手く活用し、組織を成功に導いてゆくのが優れたマネジャー、経営者ということになるのだろう。企業の形も今後さらに変わってくるかもしれない。
 
 
詳細は記事のオリジナルへ ⇒ "Want fresh ideas ? Try 'crowdcasting'" Business 2.0 / CNNMoney
 
 
当ブログ内の関連記事:
 
革新的アイデアを花開かせるには』 2006年4月18日
 
 
ありがとうございます。
 
 
 
 
 
 
関連ワード: クラウドソーシング、クラウドファンディング 
 
 
 
 

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Wednesday, November 29, 2006

2006 ベスト製品デザイン ~ かつて”マネシタ”と揶揄された松下の躍進

The Best Product Design of 2006
 
Business Week online
 
 
Business Week誌が選ぶ、優れた製品デザイン2006年版では、日本の松下電器が躍進したようだ。金、銀、銅賞の獲得数が、デザイン・ファームと、それ以外の企業群(メーカーはこちらに含まれる)とでそれぞれランキングされているが、松下は金、銀、銅賞の合計が6点となり、”それ以外の企業”の中でトップとなった。それぞれ3点までにとどまった二位グループに大差をつけている。昨年(2005年)のリストでは、韓国のサムスンの躍進が著しく、昨年、このブログでもとり上げたが、今年は松下がさらにその上を行った。それでもサムスンは引き続き好成績で、その二位グループに入っている。(もう一社はアメリカのTimberland、靴やアウトドア・ウェアで有名) 中国のレノボも躍進し、アジア勢のプレゼンスがかつてなく高まった結果となったようだ。
 
松下に関する記事 ”Matsushita's Award-Winning New Look
 
松下の金賞は、洗濯乾燥機 Washing and Drying Machine NA-VR1000 
 
同じく銀賞は、冷蔵庫 Refrigerator NR-P550T と、監視カメラ Surveillance Dome Camera WV-CS954
 
これらはいずれも社内のデザイン・センター(Panasonic Design Company)の手によるもので、外部のデザイン・ファームの関与は無さそうで、その点で気合が入っている。ほんの数年前までは各事業部でバラバラにデザインを起こしていたそうだ。2002年に中村邦夫前社長がこのセンターを立ち上げた。中村氏による数々の改革の中の一つだったというわけだ。この中村前社長という方は比較的地味だが、非常に優れた経営者だと思う。
 
記事の中には、Panasonic Design Company長のToyoyuki Uematsu氏のインタビューもあり、その中で、中村前社長の功績についても触れられている。デザインの中に、ユニヴァーサル・デザインの要素と、環境への配慮などを盛り込むことを必須にしたそうだ。また、ソフトウェア開発の重要性や、事業部間のコミュニケーションで開発段階から部品や工程の共通化、デザイン・コンセプトの共有を促進することなどの重要性についても語っている。
 
 
今回、ソニーもハンディ・ビデオカメラで銅賞を取っているが、今回の松下は日本企業中では図抜けている。(企業自らの意思でエントリーしないと対象にならないようだが) この種のランキングならソニーが来そうなイメージだが、まだ改革の途上ということか。改革を概ね済ませてしまった松下との逆転した立場を示す、一つ象徴的なことととも言えよう。
 
 
いくつも素晴らしいデザインの製品がある中で、ちょっと面白い?とおもったのは、大リーグのミルウォーキー・ブリュワーズ(かつて野茂英雄投手も一時在籍)の依頼でデザイン・ファームらが制作した男性アスリート用プロテクターだ。”Nutty Buddy”(笑)というニックネームがついている。説明によれば、4つのサイズがあり、この”たった”4サイズでリトル・リーグの10歳の選手から、メジャー・リーガーまでが使えるとのこと。
 
 
ありがとうございます。
 
 

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Thursday, August 03, 2006

世界のブランド トップ100 (2006年版)

 
"The 100 Top Brands"
 
~ Business Week, August 7, 2006 p.60 -
 
 
昨年もご紹介したが、あれから1年経ったのかと思ったら、今年は1ヶ月早いようだ。それでも11ヶ月、日が経つのは早いなあ。。。
 
さて、今年のランキングをご紹介しよう。今回は、ちょっと忙しいので、Top10のランキングを中心に簡略版を。記事の要点、等々はまた別の機会に。(()内は前年の順位。)
 
 
1. (1) Coca-Cola
 
2. (2) Microsoft
 
3. (3) IBM
 
4. (4) GE
 
5. (5) Intel
 
6. (6) Nokia
 
7. (9) Toyota
 
8. (7) Disney
 
9. (8) McDonald's
 
10. (11) Merecedes-Benz
 
 
ご覧の通り、ほとんど変化が無い。トヨタが2ランク上昇した。(セクハラ訴訟や国内でのリコール問題など、らしからぬ失態を見せ始めた感じだが・・・) トヨタは、上級車ブランド/チャネル、Lexus(レクサス)も今回、初めてランクインした。(92位) 当時は、先行したホンダのAcuraに4~5年遅れての参入だったが、その後の成功は流石トヨタだ。(日本では苦戦しているようだが。これが解っていたから永らく日本には参入・展開させなかったのだろう。)
 
この他に、代表的な「躍進組」と「凋落組」も5社(5ブランド)づつピックアップされているが、「躍進組」の中には、Hyundai(現代自動車)が入っている。先日のワールドカップ・サッカーではオフィシャル・スポンサーとして、選手の移動用大型バスなどを提供していた。
 
「凋落組」には、Fordが入っている。昨日のニュースだったか、7月の米国新車販売台数で、遂に初めて、トヨタの後塵を拝した。ウォール・ストリート・ジャーナルあたりでも「歴史的な出来事」と論評したようだ。Hyundaiも躍進して、益々、ビッグ3は厳しい経営を強いられよう。
 
 
個人的には、上位15ブランドの中に、自分がかつて所属した3ブランドが入った。これらは、宣伝・広告が巧いとか、華々しいプロモーションを行っているとか、そういう企業ではない。それぞれ業種は異なるが、いずれも長い歴史があり、優れた経営を行って、特徴的・個性的な製品・サービスを提供している。こうして顧客の信頼を得続けることが優れたブランドというものの根幹ではないだろうか。
 
 
(昨年の記事は、こちら。)
 
 

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Tuesday, June 20, 2006

ソニーの大改革 ~ ハワード・ストリンガーは、ソニーの輝きを取り戻せるか?

”Recharging Sony : Can Howard Stringer Make It Sizzle Again ?”
 
~ FORTUNE, June 12, 2006 p.38-46
 
 
デジタル化とネットワーク化の時代は、ソニーにとって厳しいものとなっている。2005会計年度において売上全体の64%を占めたエレクトロニクス事業は、300億円の赤字を計上した。グループの利益の大半は、保険や銀行といった金融部門が稼ぎ出したものである。
 
過去1年間に、日経平均株価が40%ほど上昇した中で、こうした業績を受け、ソニー株は28%の上昇に留まった。株式時価総額は450億ドルで、ライバル企業、サムスン(980億ドル)、アップル(540億ドル)、松下(530億ドル)の後塵を拝している。(サムスンについては、当ブログでも採り上げた。⇒『韓国サムスン 躍進の原動力』)
 
こうした状況に至って、前CEOの出井氏をはじめとするトップ達は、ウェールズ人、ハワード・ストリンガーに異国の企業の大改革を託した。
 
 
<低価格化の波>
昨今、ソニーは二つの“大波”に直面している。一つは低価格化。新製品を出しても出しても、間もなく中国あたりから、廉価品が登場する。
 
ソニーはムダを省き、機能していないものを取り除くか修正した。例えば、Aiboのプロジェクトは凍結されたし、計5,700人の従業員が整理され、9つの工場が閉鎖された。売却資産の合計は約800億円に達した。
 
そして、相談役の人々である。彼らは実に45人もいて、それぞれが秘書と車をあてがわれていた! 横から現場の人々を批判し、意思決定の流れを阻害してきたこの相談役を、廃止した。
 
 
<デジタル・メディアの波 ~ ソフトウェア企業への進化>
もう一つの波は、デジタル・メディアの時代の到来である。
 
ハードウェアと音楽(コンテンツ)とインターネットを統合して取り込んだAppleのiPodの成功は、急激な勢いで、ソニーのWalkmanを’70年代の遺物へと追いやった。ソニーもデジタル音楽プレイヤーは製造・販売しているが、操作が複雑で、それ故にアメリカには輸出されていない。
 
ソニーの製品数は、1,000にも達しており、その内、相互に接続可能なものもあれば、不可能なものもある。“メモリー・スティック”を用いるものもあれば、用いないものもある。一時、3つの事業部で別個にデジタル音楽プレイヤーを開発していた時期すらあった。(ある重役に言わせると、自分が個人で持っている35のソニー製品は、全部、バッテリーの充電器が異なる、ということになる。) エレクトロニクス(ハードウェア)事業全体を貫く製品戦略が存在しなかった。
 
また、ソニーは映画コンテンツを持ち、音楽コンテンツも手がけている。自社の持つハードウェアを支援するためのものだ。しかし、そこには抜け落ちているピースがあった。コンテンツとハードウェアをつなぐもの、“ソフトウェア”である。だから、ストリンガーは、ソニーに、ソフトウェア企業としてのコンピタンスを持たせたいと考えている。
 
ストリンガーに課された最も困難な仕事は、ソニーを、電子機器を製造する企業から、そうした機器・装置のみならず、コンテンツとソフトウェア製品・サービスを創造・提供する、動きの俊敏な企業へと転換・変容させることなのである。
 
 
<企業文化の刷新 ~ 組織内のコミュニケーション>
そのために求められているのが、企業文化の刷新である。事業部間に強固に構築されてしまった壁をうち崩し、従業員間のコミュニケーションが促進されるように、さらには各製品間のコミュニケーションまでもが可能になるように、生まれ変わらなければならない。
 
こうした取り組みを“Sony United”(ソニー連合)と称し、こう説明する。“デジタル・エイジとは、人とデバイスの間のコミュニケーションのことなのだ。”と。
 
しかし、事業部間を隔てる分厚い壁を突き崩すという任務にはデリケートな側面もある。非常に収益性の高いビジネス(PlayStationを擁するSCE等)もあれば、赤字垂れ流しの事業もある。
 
ストリンガーは、エンタテイメント事業、エレクトロニクス事業、そしてゲーム事業が互いによくコミュニケートするように説いた。可能な限りクロス・プロモーションを行うように促している。(007ジェームス・ボンド映画最新作『カジノ・ロワイヤル』では、ソニー製品が大量に使われることになるという。)
 
 
<人事制度改革と意識改革>
その中で、ストリンガーは、人事制度も大きく変革させるつもりだ。ソニーの問題点は、“50歳代で能力に欠ける人材が非常に多いことだ。”と言う。若手を抜擢し、もっと多くの機会を与えたいと考えている。ソニーの社員は、会社のトップに就くまでに長い間待ち続けることに慣れていた。ストリンガーが、48歳のマネジャーに昇進を伝えたとき、“私はまだ48ですよ???”と答えて、驚かせた。
 
こんなエピソードもあるものの、“組織内に革命を起す。硬直した組織に風穴を開ける”というストリンガーのメッセージは、中間層のマネジャー達には非常によく受け入れられている。
 
一方で、マネジメント層には、株主価値にも常に注視するよう求めている。日本の企業文化では、調和は収益性よりも重視されてきたが、特にソニーでは、過去5~6年の間、取締役会で株価のことが話題に上ったことはなかったそうだ。
 
活性化のために、数々の欧米人も招聘した。ソニー・アメリカの上席副社長(法務担当)ニコル・セリグマンが、ソニー本社の同じポジションも兼務する。アップルからは“スター”ソフトウェア・エンジニア、ティム・シャーフを招き、ソニー製品全体を任せた。日本語も流暢な英国人アンドリュー・ハウスをソニーとして初めてグローバル・マーケティングのチーフに任命した。
 
 
<製品開発 ~ 市場とのコミュニケーション>
調査結果が示していたのは、品質や耐久性では評価の高いソニー製品も、革新性やスタイルの面では、特に若い“digerati”(デジタル・エリート/サイバー・エリート)から不評を買っているということだった。
 
ユーザーとの対話は問題だ。ストリンガーは、製品の企画開発担当者にはもっとユーザーに目を向け、声に耳を傾けさせたいと考えている。ソニーのエンジニア達は、優れた製品の開発に情熱を注いできたが、その中で時としてユーザーを置き去りにした。デザイナーやエンジニアが、先入観を排除するために、ユーザーの声を聞かないように推奨されていた時期もあったという。
 
その悪しき一例がデジタル・カメラで、ソニーは世界で最も薄い製品を開発した。しかし、顧客にとっては“ぶれ”への対処や、光の少ない場所での画質の方が遥かに重要で、半年後、このニーズに見合った製品を上市すると、販売は大きく伸びた。
 
現行製品の中には、売れ行き好調のものもある。テレビ、デジカメ、カムコーダー、・・・ 更に切り札となる製品が欲しいストリンガーには、幾つか期待の製品も控えている。そのうちの一つ、“ソニー・リーダー(Sony Reader)”は、直射日光下でも読み取りが容易な電子ブックである。だが、ソニーにとって、直近、ブルーレイDVDとプレイステイション3が最も重要な製品であることに疑問の余地は無い。
 
 
<ハワード・ストリンガー>
ウェールズ出身の彼は1965年にアメリカに移り住んだ。CBS放送の番組制作等からキャリアをスタートさせた彼は、最終的には同社の放送事業全体を率いるまで至った。その後、1997年にソニー・アメリカに入社、徐々に職責を拡大していった。
 
ストリンガーとともに社長に起用されたのが中鉢良治だが、二人ともサプライズ人事だった。中鉢の考えはこうだ。“二人とも、東京の外から見て、ソニーの問題を十分に把握している。”
 
社員とのタウンミーティングでは、“何故、あなたが選ばれたのか?”という率直な質問も飛んだ。ストリンガーは、“自分が望んだことではないのだが”、と前置きした上で、“自分の仕事はみなさんに最高の仕事をしてもらえるように、鼓舞し、刺激し、良い雰囲気を作り出すこと”と返答した。
 
また、ロッテ・マリーンズのB.ヴァレンタイン監督をどう思うか、と聞かれて、“彼のチームと同じように、ソニーもタフになることを学ばねばならない。”と答えた。
 
 
ストリンガーはCEO就任にあたって、色々な本を読んで参考にした。例えば、元GEのジャック・ウェルチのもの。そして、IBMのルイス・ガースナーのもの。特に、ガースナーの本には深い感銘を受けて、即座にフロリダの氏のもとに飛んで、アドバイザー/メンターとして契約した。
 
そのガースナーからは、大胆になるようにアドバイスされている。そして小さな成功(例えば新製品の売上好調など)に気をとられてはならないと。ガースナーが訴えるのは、そうした小さな成功が、ソニーという企業を変質させるという本来の最大の課題にとって、却って妨げになるというものだ。ガースナー自身がIBMで目の当たりにしてきたように、ソニーにとっても、企業文化の問題こそが最も根本的な問題であり、深刻なのだ、と。
 
これまでのところ、ストリンガーはJ・ウェルチとも、ガースナーとも似ていない。彼の武器は、英国紳士の魅力であり、自らを“ネタ”にもするユーモアのセンスである。そして、周りの者が成功するのを見ることに大きな喜びを感じるていることが、外から解る点である。彼は、難しい人達を扱うコツも知っている。
 
 
ストリンガー自身はソニーの企業文化に大いなる敬意を払っている。ソニーは、親切で、公平な精神を持ち、知的な企業である。60年前の創業時に、創業メンバーの一人だった井深大が唱えた精神
 
~ “自由豁達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設”、“不当ナル儲ケ主義ヲ廃シ、飽迄内容ノ充実、実質的ナ活動ニ重点ヲ置キ、徒ラニ規模ノ大ヲ追ハズ”、“極力製品ノ選択ニ努メ技術上ノ困難ハ寧ロ之ヲ歓迎、量ノ多少ニ関セズ最モ社会的ニ利用度ノ高イ高級技術製品ヲ対象トス、又単ニ電気、機械等ノ形式的分類ハサケ、其ノ両者ヲ統合セルガ如キ他社ノ追随ヲ絶対許サザル境地ニ独自ナル製品化ヲ行フ” 等々 ~ (ソニー設立趣意書より)
 
がいまだに生きている。ストリンガーとしては、これを進化論的“適者生存”の価値観に置き換えてしまったCEOとして、人々の記憶に残るようなことにはなりたくないと考えている。しかし、それで果たして、ソニーは熾烈な競争に勝ち残れるタフな企業になりうるのか?
 
 
 
5月24日、ストリンガーは東京で、ソニーの1,200名の役職者に対し、自身の一年目の総括と今後について語った。“過去一年は、壊れたものの修復に費やした。今後の一年は、将来に向けての土台作りに注力する。” 新製品と、BRICsにおける成長戦略についても説明した。そして、組織の壁を壊すこと、若手を登用することも。
 
その上で、ストリンガーは組織にとっての最優先課題を、ソフトウェアの制覇、とした。優れたハードウェアとコンテンツを持っていても、ネットワークの時代には十分ではない。“ソニーを世界屈指のソフトウェア企業にするには時間がかかるかもしれない。しかし、我々はやり遂げる。何故なら、そうしなくては生き残れないからだ。”
 
 
ストリンガーは、東京、ニューヨーク、ロサンジェルスを中心に出張に次ぐ出張で、家族の住むロンドン郊外の家には、ほんの時折しか帰れない。だが、ソニー社員を前にしてこう語った。“自分の家族にはあまり会っていません。私の家族はみなさんです。”
 
 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 
日本ではいまだ珍しい(大企業の)外国人CEOとして、前日産自動車、現ルノーのカルロス・ゴーン氏と比較されることも多いのではないだろうか。
 
合理的な思考で、しがらみの無い立場で改革を推し進めて欲しいという周囲の期待が大きいのだろう。特に、この記事にも取り上げられている、相談役だとか、多数の50代問題社員の整理など、やはり生え抜きではなくて“外部”から来た人物の方がやりやすい、ということがあろう。欧米人なら致し方ないという雰囲気がある。それだけ追い詰められ、苦しい状況にあった(今もまだある?)ということの裏返しだ。
 
 
大分前にゴーン氏の著書『ルネッサンス – 再生への挑戦』(ダイヤモンド社)を読んだが、その際のゴーン氏の印象は、日産あるいはルノーというマルチナショナル企業のトップの座に向けて、かなり一直線の道を歩んできた人という感じだった。
 
こうした一直線とかシャープなイメージは、ゴーン氏が“コストカッター”との異名をとり、“180”のような明確なスローガン/目標を導入しつつ、日産を大改革して、V字回復を実現させたことによって補強・強化されているのかもしれないが。(ここに来てバックラッシュに見舞われている感じではあるが)
 
その点、ストリンガー氏の場合、記事から受ける印象は、チームの仲間との交流の中で、ある程度、流れに身を任せる形でここまで辿り着いたというものだ。
 
 
そのストリンガー氏、今のところまずまずといった所のようだが、今後はどのような手腕を見せるのか。
 
 
 
さて、相談役が45人、というエピソードには驚いたし、50代の問題社員が・・・という話もあったが、かくいう私も、ソニーで複数の海外現地法人の社長を務めた後、50代後半で退職した人と一緒に仕事をした経験がある。個人攻撃や中傷をする気は毛頭無いが、あえて現実の事例として引かせて頂くと、この方、人間的には悪い方ではないのだが、これで子会社・現地法人とは社長が務まったのかという程の力量の方だった。早めにソニーを辞した(辞さざるを得なかった?)のは納得が行ったものの、現法のトップを複数の国で務めたというのはちょっと驚きで、当時、ソニーの不振に合点が行ったような気がしたものだった。今回、記事を読んでなるほど、という感じだが、まだこうした人達がかなり残っておられるということになる。
 
 
 
ソニーもかつてはベンチャー企業だった。井深大、盛田昭夫らによって設立された若々しい企業だった。ビジネス書やビジネス・スクールの教材に取り上げられるようなエピソードも豊富だ。
 
但し、昨今、問題・不祥事を起しているような急成長(?)企業とは異なる。上にも引いたような創業者たちの極めて”崇高な志”が基本となっており、だからこそ、ここまで立派な企業として存続してきたのだ。
 
しかし、年月を経るに従って、そうした創業者らの“スピリット”は失われてゆく。成功の証しであるはずの成長とともに組織が大きくなると、いつしか寄らば大樹の陰のサラリーマンが増殖し、創業精神は影が薄くなり、企業はエッジを、輝きを失うのだ。
 
経営は“アート”だと言った人がいた。それは、極めて様々な要素を、絶妙な感覚でバランスしてゆかなくてはならないからだと思う。それだけに選ばれるリーダーの役割、そして責任は大きいということだろう。規模が大きくなればなるほど尚更だ。その感覚が無いままに、いたずらに企業を大きくすることばかりに熱心だと、昨今の問題続発のような事態に陥るのではないだろうか。
 
ストリンガー氏には、非常に優れたバランス感覚のようなものは感じられる。
 
 
どなたかのメルマガの一部をたまたま読んだときに、中小企業の社長は税理士から経営を学ぶ、これは本来好ましくない、というような記述があった。経営を学ぶ、と言えば聞こえはいいが、実は(税理士から)節税のことばかり学んでいる、というような主旨だった。中小企業のうちはまだそれでもいいかもしれないが、図体が大きくなると社会における影響度が高まって、相応しくない経営者/リーダーに率いられた組織は社会の害ともなりかねない。
 
(ベンチャー)企業の経営者は、急速に経営者として、そして人間として成長しなくてはならないのだろう。身体は大人なのに、頭や精神が子ども、ということかもしれない。ただ、余りに分別臭くなってしまうと、逆にベンチャーのベンチャーらしさが失われることになりかねない。極めて高い次元でバランスすればするほど、大きな成功を味わえるということか。もちろん、リーダー一人ですべてを背負うのではなく、優れた人材を配し、彼らをモティベートし、効果的なチームを作り上げるのもその人物の使命だろう。もちろん、そのチームは、リーダーの理念や精神を反映する。
 
 
こうしてリーダーシップの話題になると、以前、このブログでもご紹介した優良企業トップ達の謙虚さや、常に学び続ける姿勢が思い出される。(⇒『彼らのリーダーシップに学べ!』)
 
 
なお、ストリンガー氏が読んだ元IBM、ルイス・ガースナー氏の本とは、『巨象も踊る』(日本経済新聞社)と思われる。
 
 
 

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Saturday, February 04, 2006

最高の職場(働きがいのある会社) ベスト100

"100 best companies to work for"
 
~ FORTUNE誌、Vol.153 No.1, January 23, 2006
 
 
これもFORTUNE誌では恒例の企画。民間企業や病院等にアンケートをとって、主に従業員満足度の点で高い評価を受けた組織(即ち、働きがいのある会社や団体)をランキングしている。これは調査に参加した企業が対象のランキングなので、必ずしもすべての企業が網羅されているわけではない。が、年々、参加企業は増えている印象がある。今回、このかなり骨が折れると言われている調査を行ったのは米国内の466の組織(企業、病院、団体、等々、規模に関係無く)で、例えば、お馴染みの企業名を挙げれば、Boston Consulting(11位)、Starbucks(29位)、Microsoft(42位)、Yahoo(73位)、Nike(100位)、などである。ベスト10は下記の通り。
 
1. Genentech
2. Wegmans Food Markets
3. Valero Energy
4. Griffin Hospital
5. W.L.Gore & Associates
6. Container Store
7. Vision Service Plan
8. J.M.Smucker
9. Recreational Equipment
10. S.C.Johnson
 
(因みに、1位のGenentech社は、その名の通りバイオ・テクノロジー企業である。同じ誌面ではこの企業に関する特集もある。同社のウェブサイトには、この1位選出の朗報がトップで伝えられている。)

 
記事によれば、ここにリストアップされている企業の多くは様々な工夫を凝らして、優秀な職員の獲得・維持に努めているという。そうした例は、在宅勤務であったり、週の業務を8時間X5日の代わりに10時間X4日にして金曜の休みを許可するとか、昼食の補助や無料化、さらにはコンシェルジュ・サービス等々であったりする。
 
しかし、こうした工夫は、ちょっと努力したらどの企業・組織でもできる。サステイナブルな差別化要因ではないと言うわけだ。重要なのは、各職員・社員がそこで働くことに高い目的意識を持つことだと言う。自分達のしていることは、良いことであり、正しいことである、と、そして自分たちは(社会的に)高潔な目的のために働いているのだ、と感じることで、人々は深い満足を覚え、企業・組織そして雇用主に対してより大きな忠誠心を抱く。
 
こうした意識は、必ずしもその事業の本質的な意義や目的だけから生まれるわけではない。マネジメント/経営の力量の問題でもある。
 
例えば、ミューチュアル・ファンドで有名なVanguard(60位)のような企業では、人々が老後の蓄えを築くのを支援する、ということを同社のミッションにしているという。
 
あるいは、アウトドア用品でお馴染みのTimberland(41位)は、自分達は環境に対して高い関心を抱き、配慮を示しているという企業の方針を掲げ、社員のハイブリッド車購入に対して、3,000ドルを支給しているという。
 
さらにCocaCola社の例を引いている。コーラという炭酸飲料の販売にどのような意義を見出すのか。'90年代、当時のCEO、R.ゴイズエタ氏は、このビジネスは、世界中の数え切れない小さな事業者たちが生計を立てる糧にしている高潔な事業だ、と説いたという。
 
 
経営陣の力量に関して言えば、最近、日本では、経営者のモラルの低さを露呈する事件が立て続けに発覚している。選んだ従業員(特に若い従業員)の自己責任を問うにはあまりにも気の毒なレベルの低さだ。
 
 
そして記事は、こう続けている。この、”企業にとっての高潔な目標”の中に、株価を上げることは含まれない、と。
 
資本主義において株価を上げることは確かに重要だが、必ずしもこのことだけで人々が朝起きて働きに行く気になるのではない。現に、このリストで株式公開している企業は、なんと半分の50に過ぎないという。(ホントにアメリカ(人)の話か、と言う感じだが・・・)
 
株式公開(企業)以外の選択肢にも多くのメリットがある。NPO法人には、税制面で優遇されている点があるし、株主からの執拗なプレッシャーもない。また、従業員が所有する企業にもなると、その企業文化も非常に友好的で、より運命共同体としての個々の結びつきが強まるようだ。ポスト資本主義的な在り方と言うことか。今回、検察に締め上げられた六本木の企業の在り方は、こうした動きから見れば、むしろ前時代的と言った方がよいのかもしれない。現にアメリカのエンロン社と比較されているが、エンロンはもう過去だ。(余談ながら、TVを見ていたら、あの六本木の会社を、11年前東京で地下鉄テロを起した宗教団体になぞる人がいて我が意を得た。トップの逮捕、キーマンの死、否定を続けるトップと次々自供する側近達、逮捕されてなおトップを崇める信者(社員)たち、、、) 
 
 
最後に、優れた職場にとってさらに重要なことが、あと二つある。信頼(Trust)と功労の認知(Recognition)である。今までもずっと重要なポイントだったし、これからもそうだろう。
 
従業員は自ら最善と考えた方法で仕事をすることができる自由を重視するし、優れた経営者はこれを尊重、信頼して任せる。
 
功労の認知、すなわち従業員がよくやっていることを認めること、伝えること、そしてそれに報いること、は、ゼロもしくは低いコストで出来る一方で、非常に大きな効果がある。にもかかわらず、マネジャー達はこれを怠っているのが実情。
 
 
興味深い統計が示されている。
 
アメリカの企業は、誕生してから倒産・清算に追い込まれるまで、もしくは買収されてしまうまでの期間、すなわち寿命が平均しておよそ20年程度だが、ここにリストされた100の企業・組織は平均85歳!であるという。働きたいと思わせる職場にすることは、十分にペイすることなのだ、と締めくくっている。
 
世の中には、まだまだ、結構良い職場がありそうだ。
 
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最後に個人的な話を。
 
筆者はかつて、今回のランキング第4位に入ったグリフィン病院を訪問、見学し、経営者から一対一で話を聴いた。(この内容は経営関連雑誌にも寄稿している。) 日本にも優れた病院はある(そうでない病院も非常に多い)が、優れた職場、従業員満足度の高い職場として高い評価を受けるところが果たしてあるだろうかと、グリフィンに興味を抱いた。
 
このグリフィン病院は、数年前からここにランクインし、もはやこのランキングの常連である。今回のランキングには、他にMayo Clinic(メイヨー・クリニック)のようなメジャーな医療機関も多数入っているが、こうした有名どころを抑えて病院としてはトップである。
 
グリフィンはアメリカ東海岸、コネティカット州にある。近隣にはイェール大学病院を始め優れた病院もあって、かつてはジリ貧だったそうだが、危機感を抱いた経営者らが抜本改革に乗り出し、まず患者満足の向上に徹底的にこだわった。患者調査を行って、それを施策に落とし込んだ。職員の教育訓練にも力を入れた。そうした努力が奏功して患者の数が増え、彼らが満足して帰ってゆく姿に従業員の満足度も高まっていった、というのがおおまかな構図だった。もちろん、”信頼”や”功労の認知”をはじめ、モティベーション維持・向上のための数限りない細かい工夫もなされていて、非常に感銘を受けた。
 
記事にもあったが、自らの働く職場が高潔な目的のために存在する、そして、そこで自分はその高潔な目的に貢献するために働く、ということが重要なのである。グリフィンの場合で言えば、患者満足⇒患者の健康回復⇒患者の幸福、というまさに極めて高潔な目的であり、各自はこれに貢献することになるのだ。それで給料が良ければ最高と言えそうだが、実際、グリフィンの給与水準は近隣の他病院に比較して決して高くないとのことだった。それでも、満足度を高め、能力のある職員を繋ぎとめられるという好例だ。
 
日本の病院には、患者を”様”づけで呼ぶというような小手先の細工ではなく、本当に患者を中心とした医療サービスの提供を望みたい。そうすれば患者は集まってくる。そして医療の場合、それが、従業員満足⇒優秀な職員の獲得・維持⇒さらに多くの患者、という好循環を生むはずだ。
 
 
 

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Friday, October 07, 2005

ブランド戦略としてのメーカー”直営店”

 
“Why some brands can stand alone”
 
~ BUSINESS 2.0, Volume 6, Number 9, October 2005  p.49-
 
 
 
メーカーが直営店を開設することの意味について論じた記事。ニューヨークの五番街やマディソン・アヴェニューにはこうした直営店が軒を並べるし、最近は東京・銀座や表参道などにも世界のブランドが集まりつつある。そして、ファッションやジュエリーだけではなく、アップルのようなブランドが直営店を出してきているのが最近の傾向と言えようか。
 
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- デジタル・ゲームの普及などの影響を受け苦戦していたデンマークのおもちゃメーカー、レゴ(LEGO)社では、“レゴ・ショップ”という直営店の開設によって事業を好転させた。現在、全米に18店舗を展開するレゴ・ストアには通常のおもちゃ店のような趣はなく、レゴだけが置かれている。子供達はそれを使って何時間も遊ぶことができ、その結果、レゴについて詳しく知るようになる。
 
- 1990年代後半、インターネットの成長と共に、メーカーはウエブ経由で顧客へ直販するようになるだろうと言われた。だが、実際はそうならず、ブランドが他と如何に違うかを訴えるには、現実世界で、どのように顧客と係わり合えるかが重要と再認識された。人は店に足を運ぶのが好きなのだ。
 
- レゴ・ショップのような直営店でなら、顧客は、ブランドとの密度の濃い“交流”が可能になる。ブランドにとってディスカウントストアや量販店における最大の課題は、数々の種々雑多なブランドの中で、いかにして自らを際立たせるかである。個々のブランドが確保できるスペースや店員の数は限られてくるからだ。
 
- 直営店は、製造メーカーに対し、自らのイメージを決め、行く末を決める力を与える。従業員教育も、販売価格(実売価格)の決定も、販促策の実施も、自分の手で出来るようになる。こうした認識の中、直営店の開設が進んでいる。直営店は、いまや成長戦略の一環である。アパレル業界だけ見ても、今年6月までの12ヶ月間の直営店舗での売上は対前年比5%増である。(一方、同期間のデパートにおける販売は-1%)
 
- 歴史を遡れば、コーチの成功例にあたる。ニューヨークで1941年に創業したこのバッグ・鞄メーカーは、最初の40年間、デパートへの卸売りだけに頼るビジネスを行っていたが、1981年、方向転換してマンハッタンのアッパーイーストに直営店第一号を開店した。この試みはリスクも伴った。というのは、数ブロック先には、同社の主要顧客であるブルーミングデールズ・デパート(Bloomingdale’s)があったからだ。しかし、コーチでは、直営店の最大のミッションを、コーチ・ブランドのアピールということに置いた。それが奏功し、結局、直営店開設後も、ブルーミングデールズでの販売は減らず、むしろ増加した。
 
- 同社は2000年の株式公開以降、毎年20店ほどを新規出店し、現在では195の直営店を構えている。(アウトレットを除く) 直営店では、デパートなどでは出来ないことを行っており、その際たるものは極めて豊富な商品点数だ。最も典型的な直営店では約650のアイテム(靴やスカーフ、iPod用のケースも)を取り揃える。現在、同社の売上の75%以上は、アメリカと日本の直営店からのものだ。
 
- 拡大・成長戦略としての新規出店が最も効果的に機能するのは、ブランドが新しいメッセージを強く訴えたいときだ。フランスのラコステが良い例だ。同社は、2002年にロバート・シーゲル氏がアメリカ法人のCEOに就任するまで、アメリカ市場で凋落の一途を辿っていた。そこで、氏はまず製品デザインを刷新し、続いて小売店舗に注力した。それまで全米にあった11店舗をリノベーションし、さらに25店を追加出店した。いずれも白を基調とした同様の店舗デザインを施した。さらに、それまでラコステ製品を販売していた250店(直営店以外)のうち、110店での販売を打ち切った。その結果、2002年から現在までに、アメリカにおける販売は8倍に増えた。
 
- また、アップルはそのアップル・ストアで、“他とは違う何か”、を提供した。それは、iPodであり、マックであり、その他諸々のアクセサリーであり、そして知識が豊富で自社製品に対して情熱的なスタッフが、深い説明を展開することだった。最も特筆すべき成功例の一つと言えるアップル・ストアは、同社の直近一年間の販売に、前年比で21億ドル(約2,200億円)を上乗せした。
 
- 忘れてはならないこともある。店舗を構えるといっても、物件の購入やリースには多大な費用がかかる。従業員の管理や万引き対策も重要だし、なにより店自体が流行らないということもありうる。また、直営店を開けば、その地の他の(従来の)販売店と競合する可能性がある。“チャネル・コンフリクト(channel conflict)”と呼ばれるこの問題は(アメリカで)アップル社のケースでも起きていて、訴訟沙汰にまで至っている。
 
- 流通販売の専門家は、このチャネル・コンフリクトを最重点課題として処理すべきだと言う。直営店の開設は決して従来の販売店に害を与えることはなく、双方にとって良い結果がもたらせるということを、あらゆるデータを集めて説くべきである。
 
- ラコステの直営店の成功は、デパートに対し、売り場の縮小ではなく、拡充を促した。ブルーミングデールズやメイシーズ(Macy’s)などの百貨店は、フロアの一角、ラコステのコーナーに、直営店と同じようなデザインを施して遇した。共存共栄は可能なのだ。
 
 
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確かに直営店を効果的に運営すれば、顧客とのインターアクションを実現しながら、そのブランドの持つ価値観・世界観、哲学などを直截的に紹介できる。まさにアップル・ストアはその好例と言えよう。
 
所謂、メーカーのアンテナ・ショップと言われてきたものに近いが、アンテナ・ショップは文字通りアンテナの役割、実験的・探索的な性格を帯びていたのに比べ、これはまさにメーカーの現在と近未来の”姿形”を体現する世界になり、成否が持つ意味は大きい。このことは、”フラッグシップ・ショップ”(旗艦店)という言葉にも象徴される。(と書いていたら、昨晩のワールド・ビジネス・サテライトで、今日、ユニクロが銀座にまさに旗艦店を出店する、と報道していた。そういえば、一昨日、中央通り沿いのいいところ、例の”鳩居堂”の並び、に銀色のビルを見たなあ)
 
 
なお、この記事には失敗例が二例挙げられている。一つはパソコンのゲイトウェイ、もう一つは、映画グッズ販売のワーナー・ブラザース・ストアだ。前者については記事中に簡単な分析がある(今回割愛)のだが、後者については無い。このワーナー・・・は、この雑誌”Business 2.0”と同じ親会社、タイム・ワーナー、だから矛先が鈍ったという感じか。ちなみにタイム・ワーナーはCNNも傘下に擁している。是非、ストアの失敗を分析しみせて欲しかった。
 
また、ヨーロッパの高級ブランドについては触れられていない。恐らくコーチよりかなり以前からあったことだろう。メーカーの直営店は、高級ブランドだけのものから、他との違いを訴えたい普及ブランドへとシフトしてきた。その辺りを記事にした形だ。
 
 
このところの流通、販売チャネルの変化は興味深い。既存の業態はどのように形を変え、またどんな新しい業態が生まれるだろうか。日本ではダイエーが大きく縮小し、その創業者も亡くなられた。残ったイトー・ヨーカドーやイオンも苦戦している。一方、伸びているのはアメリカ式のモールか? 先日のNHKの番組(スペシャル)では、イトーヨーカドーがより鈴木敏文会長の陣頭指揮のもと、より高価格帯の品を売る方向にシフトし始めた様子がリポートされていた。
 
カテゴリー・キラーとして一時注目を浴びた業態もかつての勢いは無い。百貨店も相変わらず苦戦している。私自身、幼い頃、両親に三越や高島屋、大丸といったデパートに連れて行ってもらうのがとても楽しみだった。当時ほどではないが、今でも好きなことだ。以前、百貨店(デパート)は、それ自体が入場料(入店料)を徴収して、その分、アミューズメント性や付加価値をもっと高めたらどうか、という主張をしている人がいてとても面白いと思った。こうした直営店に加え、イトー・ヨーカドーなどがポジショニングを引き上げてくれば、百貨店は尚更工夫を求められるだろう。

(鈴木会長のご著書は、『商売の原点』、『商売の創造』(いずれも講談社)で、非常に基本的なことを丁寧に説かれている。当たり前とも言える基本こそが一番大事ということ、そしてその基本を確実に繰り返すことがいかに難しいか、ということだろう。先日のTV番組で、ローソンの新浪社長が、これらを愛読なさっており、社員にも(強制的に)読ませたと語っておられた。)
 
 
 
さて、それにしても、アップルのiPodやストアの成功は様々な記事で引き合いに出される。このブログでも、最近、連続登場だ。別にそれを意図しているわけではないが、企業戦略やマーケティング関連の記事を開けば、そこでは必ずといっていいほど触れられている、語られているのだ。
 
一時はウインドウズに圧倒的な大差をつけられたアップルも、最近は優れた事業戦略、製品戦略、マーケティングで目覚しいカムバックを遂げた。そこにはCEOにして創業者であるスティーブン・ジョブズがいることは言うまでもない。彼自身がカムバックだ。氏が、今年6月にスタンフォード大学の卒業式で行った祝辞/講演をご覧になっただろうか。それはそれは素晴らしい内容である。その言葉の中に、カリスマがカリスマたる所以が語られており、我々にも大いなる力をくれる。
  
 
~ 最後までお読みいただき、ありがとうございます ~
 
 
 
 
 
 
 
”国際ビジネス情報 ☆☆☆英語ビジネス誌から☆☆☆” トップページ
 
 

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Thursday, September 15, 2005

韓国サムスン 躍進の原動力

 
"The Perpetual Crisis Machine"
 
~ FORTUNE, September 5, 2005, Vol 152 No.4 p.34


この記事の中では、韓国を代表する企業、サムスン電子の最近数年の飛躍的な躍進について、その詳しい報告がされている。このブログでは何度か韓国企業、とりわけサムスンの強さ、勢いの良さを採り上げてきたし、そこで特徴~官民一体、ブランド戦略やデザイン重視、等~を指摘してきたが、それらもここで裏付けられた恰好になっている。

しかし、最大の理由、原動力は、このタイトルに隠されているようだ。さあ、”The Perpetual Crisis Machine”とは?
 
 

 
 
<CEOユン・ジョンユン氏の危機意識>
 
サムスンCEO(副会長)であるユン・ジョンヨン氏が浸透を進める企業文化(価値観)が極めて特徴的だ。社内では、うっかりと細部を見過してしまうことが災厄を招く、とされ、さらには、成功とは自己満足を助長し、ひいては失敗する危険性を大きくするものでしかない、と言われている。

氏は毎月、従業員に語りかける。その中で、同社は今も、かつて同社に壊滅的打撃を与えた1997年の危機に再び一歩づつ近づいている、と警告する。”我々は世界のリーダーになるか、大失敗の見本になるか、その分かれ道にある。” そして、”いつも雨の日に備えていなくてはならない。”
 

<最近の成功> 

こうして常に危機意識を持つことが、最近数年の同社の成功をもたらした。その内の一つは、コンシューマー・エレクトロニクス企業としてのNo.1の座を、あのソニーから奪ったことだ。今や、サムスンの株式時価総額はソニーの倍。また、インターブランド社による最新のブランド価値調査でも、初めてソニーを上回った。(当ブログの前回記事、『世界のブランド トップ100』をご参照。)
 
メモリーチップ、フラットパネルLCDディスプレイ、カラーテレビの分野で世界一、携帯電話でもノキアを追って、二位の座をモトローラと争う。それ以外にも、アップル(iPod)、デルのPC、マイクロソフトXbox、ノキアの携帯電話、そしてソニーのテレビに、重要な技術(コンポーネント)を提供している。

同社からは、世界初、とか、世界最大、とかいう製品が次々と世に送り出される。製品開発のサイクル、スピードは非常に早く、高品質ながら同時にコストも抑え、高マージンを実現している。
 

<課題>
 
一方で懸念材料はある。携帯電話市場の伸びが鈍化傾向にあり、従って収益も伸び悩む。韓国通貨ウォン高も輸出依存度の高い同社を圧迫する。同社役員が政治家への贈賄スキャンダルに巻き込まれていたり、また同社の規模に対し、巨大すぎる、という批判が国内から(も)起こっている。中国企業の台頭も脅威だ。

ユン・ジョンヨン氏にとって最大の挑戦となるのは、自身がおよそ10年前に掲げた戦略をさらに推進し続けることだ。それは、デジタル化時代のコア技術の領域を制覇すること、である。


<90年代の教訓>
 
サムスン社が危機意識を持ち続けようとする背景には、90年代の数々の苦い経験がある。

95年にこんな事件があったという。それは、当時の会長にして、創業者の息子、リ・クンヒ氏が順調な事業を祝って、友人・知人や従業員に自社の携帯電話を贈った。しかし、数日後に返ってきたものは、相次ぐ故障に対する不満の声ばかりだった。
 
そこで怒り心頭に達した彼は、150万台にものぼる自社の電話、FAX製品の在庫をすべて集めて、社員とともにハンマーで壊し、火に燃やした。この出来事が、高品質ブランドを目指す転換点となった。今日、携帯電話は、窓から投げ捨てられたり、トラックで踏みつけられたり、雪の中に埋められて放置されるという品質試験を受けている。
 
 
96年にはユン・ジョンヨン氏がCEOに就任した。日本事業の責任者を経験していた氏は、ソニーをはじめとする日本企業から多くを学んでいた。

そして97年、アジア通貨危機が韓国を襲った。同社も倒産に淵に立たされた。しかし氏は迅速に動き、コア事業以外を切り捨て、従業員を三分の一カットした。韓国の終身雇用文化に背く衝撃だった。そして、デジタル技術の世界に賭けた。
 
 
<転換>
 
ユン氏は、サムスンは他社のコピーをするのではなく、自身の命運を自らコントロールできるようになって、21世紀には世界的な企業へと変わるべきだと考えた。

コア技術を見極め、資源を集中させた。非常に高水準のR&D投資を維持している。デジタルの世界に賭けたサムスンには、政府の情報化・IT化推進政策も追い風となった。
 
そして、氏の経営哲学(”Sincere Management”)が確立していった。それは、短期的な競争力のために不断のコストカットを行うこと、長期的な競争力のために、技術開発投資を惜しまないこと、そしてNo1になれる見込みの無いマーケットには入らないこと、収益を生まない事業はどんどん切ること、革新的な製品開発でリードすること、常にサプライ・チェーンと意思決定プロセスを見直すこと、素早く動くこと、品質を最優先に考えること。

全く目新しいことではないのだが、サムスンほど徹底できていない企業が多いのだ。
 
 
<技術、デザイン、ブランド・マーケティング>

技術開発への巨額の投資とともに、製品のデザインの向上にも力を入れている。(当ブログの過去記事 『韓国企業は製品デザインでもリード?』、『創造性の時代が来た!』をご参照。)
 
サムスンは東京、LA,SF、ロンドン、上海を含む世界12都市にデザインセンターをおいており、550人のデザイナーが在籍している。同社には、CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)のポストもあり、デザイナーらは、トップ・マネジメントに直接レポートする。その結果、ここ最近の世界の工業デザイン、製品デザインの受賞で際立った成果をあげている。

CDOは、”単なる良い製品ではなく、愛される製品を創りたい”と言う。デザインは、技術とユーザーを繋ぐ。iPodユーザーがiPodに対してそうであるように、サムスン製品のユーザーにも特別な感情を抱くようになってほしいと。
 
まだサムスンにはそうした代表的、象徴的な製品は無い。利用者の感情に訴えて爆発的にヒットする製品が必要だ。
 
 
<次の目標> 

サムスンが注力する製品分野が、イメージング製品群~ヒューレット・パッカードが強いPCのプリンターや、ソニーらの強いデジタル・カメラ~だ。

プリンターはデルも狙っている。だが、デルもHPもソニーも、一方ではサムスンの重要な顧客であり、パートナーであるという面がある。こうした企業との競合と共棲のバランスも課題だ。(特にソニーとは両者の特許の相互利用などでも合意しているほどの関係だ。)
 
さらに、音楽配信ビジネスも視野にある。ユン氏は、来年中に、アップルのiPodにかわってトップに立つ、としている。アップルも、顧客でもある企業だ。


現在、同社は8つの製品分野で世界一だが、3年後にはこれを倍に、5年後には3倍にするというのがユン氏の目標だ。


そして一方で、強烈な危機意識を持ち続ける。危機はすぐそこにある。氏は認識している。どんなに警鐘を鳴らし続けても、一旦危機に陥ってしまったら、サムスンといえどもあっと言う間に沈んでしまうのだ、ということを。


============================


というわけで、同社の躍進の重要な鍵となってきたのは、トップの強烈な危機意識だ。しかもユン氏は飽くことなく訴え続ける。こうして続けていると、警鐘もだんだんマンネリ化して知らず知らずの内に効果が落ち、知らず知らず危機意識が衰えてゆく、ことがあるだろう。しかし、氏はそこまでも計算しているのではないか。毎日唱え続けても、徐々に意識は低下する。その分も計算して働きかけているに違いない。
 
それにしてもサムスンほどの巨大企業でこれを徹底するのは一苦労だろう。それを行っているリーダーとしての氏の人となりについて、もう少し詳しく知ってみたいという感じだ。日本の大企業のリーダーとはかなり違った印象を受ける。むしろ急成長ベンチャー企業の創業経営者に近い。1969年創業の同社は、まだまだ若いということか。
 
 
ここに来て、サムスンに関する新刊が続々発行されている。
 
世界最強企業サムスン恐るべし! - なぜ日本企業はサムスンに勝てないのか!?』 北岡俊明・著、こう書房・刊 \1,575-
 
韓国電子・IT産業のダイナミズム―グローバルな産業連携とサムスンの世界戦略』 そうよう・刊 \3,990-

三星の技術能力構築戦略―グローバル企業への技術学習プロセス』 有斐閣・刊 \4,410-
 
 
サムスンから学ぶことは沢山ありそうだ。
 
 
 
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Sunday, September 04, 2005

世界のブランド トップ100

 
The 100 Top Brands

~ Business Week, Asian Edition, September 5&12, 2005  p.56-
 
 
これも恒例の、ビジネス・ウイーク誌のブランド・ランキングが発表になった。同誌が、ブランド・コンサルタントのInterbrand社と共同で、ブランドの価値を金額換算してランキングするものだ。(このブログの後半で、今年のトップ100ブランドから、上位20を引いている。) 

そこから見えてくるものは・・・・
 
 

 
<ブランド戦略>
 
・ 上位にランクインしたのは、そのブランドの細部にまで徹底的に気を配り、どの製品においても、世界中どの市場においても、そしてすべての顧客とのありとあらゆる接点において、常にシンプルで統一された強力なアイデンティティを貫いているブランドである。
 
・ この原則を過去数年にわたって効果的に実践してきたのが韓国のサムスンである。数年前まで、幾つものブランドネームを冠してローエンドのコンシューマー電化製品を作っていた同社は、成長のためには強力なアイデンティティが必要だと判断した。そこでブランドをサムスンで統一し、品質改良、技術革新、デザインに資源を投下した。
 
・ サムスン製品群の主要な柱となっているものの中に、携帯電話とTVがある。携帯電話は人々が(外出中)常に持ち運ぶもの、そして家に帰ればその中心にはTVがある。人々は四六時中、サムスン・ブランドと接点を持つ、という狙いだ。過去5年間に、最もブランド価値を伸ばしたのが、このサムスンである。
 
・ 一方、サムスンに追い越されてしまったのがソニーだ。今年のランキングで、前年比最も価値を毀損したブランドとなった。かつてウォークマンで一世を風靡した栄光の企業は、ポータブルMP3プレイヤーの領域ではアップルの独走を許した。一方、映画産業への進出は、エレクトロニクス企業としてのブランドには必ずしもプラスになっていない。
 
 
<コミュニケーション>
 
・ 十数年前と比べ、TVは多チャンネル化が進み、雑誌もターゲットや領域ごとに細分化が進んだ。そこで、Amazon、eBay、Starbucksなど、こうした伝統的な媒体に依存しないブランドも続々育ってきている。歴史ある大企業が彼らの手法を真似し始めている。
 
・ ブランドの中には、顧客との結びつきをより強くするために、そのメッセージをエンタテインメントに仕立て上げて顧客に届ける試みが増えている。例えば、アップル・コンピュータは人気バンド“U2”と組んで、U2スペシャルiPodを発売したり、iPod購入者にU2の楽曲ダウンロードを値引きしたりするオファーを行った。マクドナルドはDestiny’s Childのツアーのスポンサーとなり、彼らの特別動画を見るためには、同社のウエブ・サイトを通らなくてはならない仕組みを作った。ブランドのメッセージがエンタテインメントと融合してきている。
 
・ また、ビデオ・ゲームのコンテンツの中にブランドや製品を登場させたり、歌詞の中に織り込むような例もある。例えばBMWはハリウッドの人気監督ジョン・ウー(『フェイス/オフ』(面白かった!)、『ミッション・インポッシブル2』など)を起用し、BMW車をモチーフとしたショート・フィルムを数本製作した。マーケティング担当者は、広告に見えないように仕立て上げるのが重要、としている。
 
 
<デザイン>
 
・ 同様に有力ブランドが力を注いでいるのが(製品)デザインの領域だ。ここでもサムスンの動向が注目に値する。同社は過去5年間に、世界中のデザイン・スタッフの数を3倍に増員した。モトローラの超薄型携帯電話や日産のムラーノSUVもデザインへの注力が伺える事例だ。
 
(当ブログでは、以前、製品デザインやイノベーションについて、やはりビジネス・ウイーク誌の記事を取り上げた。特に、サムスンが非常に積極的であることを指摘している。⇒ 『韓国企業は製品デザインでもリード?』、『創造性の時代が来た!』)
 
・ 本当にデザインが良いということは、使い勝手も良くなくてはならない。アップルのiPodが好例だ。逆にソニーのウォークマンMP3プレイヤーは評判が良くない。また、デザインは使用した際の音や響きとも関連する。サムスンは、総ての製品において、スイッチをオンするとき、同じトーンの音がするようにしているという。
 
 
<まとめ>
 
・ マスメディアへの露出に大きく依存してブランド・ビルディングを行う時代は過ぎ去った。消費者や利用者の生活の中に、いかにしてブランドを招き入れてもらうことが出来るか、その方法を探し出すことが重要になっている。
 
・ そのために、(エンタテインメントなどを活用した)コミュニケーションとデザインの役割は、ますます重要になってきている。
 
 
 

トップ100ブランド中 上位20ブランド(( )内は、前年の順位)
 
 
1 (1)  Coca-Cola
2 (2)  Microsoft
3 (3)  IBM
4 (4)  GE
5 (5)  Intel
6 (8)  Nokia
7 (6)  Disney
8 (7)  McDonald's
9 (9)  Toyota
10(10) Marlboro
11(11) Merecedes-Benz
12(13) CITI
13(12) Hewlett-Packard
14(14) American Express
15(15) Gilette
16(17) BMW
17(16) Cisco
18(44) Louis Vuitton
19(18) Honda
20(21) Samsung
 
 
サムスンは遂にトップ20入りを果たした。しかも、ブランド価値の上昇率(前年比+19%)でも上位だ。このブログでは何度も韓国企業の躍進、とりわけサムスンの強さを採り上げてきたが、FORTUNE誌最新号(September 5, 2005号)でも、このサムスンの成功について特集している。(”The Secrets of Samusung's Success”) できれば、当ブログの次回にご紹介したい。

日本企業では、流石、トヨタだ。あのメルセデス・ベンツやBMWを抑えて、世界の自動車メーカーとして最上位にランクインした。記事のコメントでは、ハイブリッド車がイメージアップに大きく貢献したとしている。そういえば、ハリウッドのセレブも、アカデミー賞授賞式会場にハイブリッド車”プリウス”で来ていたりしたっけ。(こちらも環境への意識の高さをアピールしてイメージアップを狙った)
 
 
負け組みの筆頭は、残念ながら日本のソニーだった。今年は28位で、これは前年の20位から8ランクダウン。価値にして前年比-16%で最大の減少率。新CEOハワード・ストリンガー氏への期待は大きい。映画産業出身の同氏がソニーをどこへ導いてゆけるのか。
 
 
日本企業は、トヨタ、本田、ソニーに続き、キャノンが35位、任天堂が50位、松下(パナソニック)が78位、日産が85位、の計7社となっている。
 
国別では、アメリカが圧倒的に多いが、以下、ドイツ9社、フランス8社、イギリスとスイスがそれぞれ5社など。韓国企業は、LGが97位に入り、計2社となった。まだBRICsからは無い。
 
他に主な企業では、Nikeが30位、Goldman Sachsが37位、Googleが38位、Appleが41位、Siemensが45位、GUCCIが49位、Yahooは58位、Amazonが66位、Armaniが95位、Starbucksが99位など。
 
 
 
トップ100と言うとかなりの数だが、ランクイン企業の顔ぶれをみると、どれも凄い企業ばかりだ。世界を見渡せばこれだけの企業ですでに100社に達してしまうのかと思う。日本企業は7社で、ちょっと少なく感じる。グローバル市場での日本企業のブランド・ビルディングの遅れを感じるが、他の顔ぶれを見れば仕方ないかとも思わせるものもあることは確かだ。

 

=BOOKSHELFについて=
 
ブランド・ポートフォリオ戦略』を挙げた。これは、ブランド論の大家、カリフォルニア大学バークレー校”ハ-ス”ビジネス・スクール(MBA課程)のデイヴィッド・アーカー教授による最近刊だ。
私もかつてビジネス・スクール留学時代、同教授の『戦略市場経営』の原書、”Strategic Market Management”を、あるマーケティングの授業で利用したが、非常に学ぶところが多かったと記憶している。最も印象に残る一冊である。
 
 
 
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Monday, August 22, 2005

ヤフーという”メディア・ビジネス”

 
"Yahoo's Brilliant Solution"

~ FORTUNE, August 8, 2005 p.46


ポータル・サイトと言えば、ヤフー(Yahoo!)と言うくらいで、日本でもそうだし、アメリカではAmazoneBayと並び賞されてきたネット・ビジネスの雄である。ここに来て、Googleが株価を上げ、大きく脚光を浴びているため、Yahooの影は薄く見えるが、実は着々と地歩を固めているという話である。

そのYahooも例のITバブルがはじけた頃はかなり苦戦した。そこで迎えたのが映画会社のワーナー・ブラザーズ出身の現CEOのTerry Semel氏。その彼が、大きな改革を行って今の好調をもたらした。だからこの話題は、Semel氏というリーダーに関するレポートでもある・・・

 
 

◎ Semel氏、”人財”を配す
 
Semel氏というのは見た目の印象も地味なら、言うこともまっとうなことで、面白みはないそうだ。p.47には大きな顔写真が載っているが、まあ確かに地味と言えば地味。(スナップ・ダウンのシャツはアルマーニっぽいな。) それでも、氏は何と言われ様とお構いなしだそうだ。ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』などに見られるリーダー像にだぶるものがある。

彼はYahooを21世紀のメディアの巨人にすべくプランを練った。まず、メディア業界、宣伝広告業界からベテランと呼ばれる人たちを招いて、適所に配した。彼らはネットビジネスの専門家ではなかった。(その過程では多くのマネジャーが切られた。) これもこのブログで前に取り上げたジム・コリンズの言葉~真に重要な意思決定とは人材に関する決定だ~を思い起させる。(『”ビジョナリー・カンパニー”の著者による意思決定&リーダー論』)

ITバブルの頃、”中抜き”が起きて従来のビジネスにおける仲介役が一斉に排除されると言われた。そういう空気の中で、当時はYahooなどもかなり”傲慢”になっていたそうだが、バブルはじけて、広告代理店は生き残った。クライアントである広告主=大企業との人間関係やパイプを資産、そして武器として。

また、殆どのコンテンツを外部に依存しているYahooにとっては、規模が大きくなればなるほど摩擦も起き易い。Yahoo Newsへの来訪者は一日に約460万人で、ニューヨークタイムスの一日の部数に匹敵してしまうからだ。新聞会社などのコンテンツ・プロバイダーはYahooから引き上げる動きもある。そこで、そうした人間関係を円滑に保つことも重要になってくる。

Semel氏は、こうした点を重視して、メディアや宣伝広告業界で実績を収めた人たちを集めたというわけだ。(彼自身もその一人だが)

 
◎ ブロードバンドに乗じる

更にSemel氏とYahooは、ブロードバンドの進展という機に乗じた。それまでインターネットを有効な宣伝広告メディアとして重視してこなかった大企業(毎年、莫大な宣伝広告予算を計上する)が、ブロードバンドによってインターネット広告に目を向け始めた。

大企業の宣伝広告担当者と広告代理店を対象とした調査によれば、インターネットがTVや印刷広告よりもブランディングに有効である、とする回答が63%に達したという。大企業は、インターネット広告へより多くの予算を割く傾向だ。

ここでYahooのスケール(規模)がものを言ってくる。5月には、全世界におけるページビューは、ライヴァルであるMSNの倍、とのことだ。また、Yahooの強みはスケールが生む質にもある。サイト内における一人一人の動きを追跡できるから、広告主にしてみれば有り難いデータを供給できる。

 
◎ 今後の課題?
 
MSN、AOL、そしてGoogleまでもが、(それぞれ程度の差こそあれ)Yahooのビジネスモデルにより近づこうと舵を切り始めている。より直接的な競合が激しくなる。

Yahooへの投資家の期待も厳しい。第二四半期、利益はアメリカ国内で+39%、海外で+59%となったが、ほんの僅か予想を下回ったというだけで、株価は10%急落した。

ただ、氏は強気だ。自身の映画業界での経験では、ビデオデッキやDVDが登場して皆戦々恐々としたが、映画会社の利益は増えた。なぜなら、新しい流通が生まれたからだ。作品が従来よりももっともっと多くの人に観られることになったのだ。そして、このことがこの業界でも起きると、彼は信じている。しかも、遥かにもっと大きなスケールで。障害をチャンスに変えてみせるという自信があるようだ。


============================
 
 
p.52のコラムでは、Semel氏がハリウッドのコンテンツ産業から招いたLloyd Braun氏のインタビューが載っていて、Yahooの今後のプランの一端が聞ける。
 
Yahooでは、音楽と映像を用いて、より個人個人のためにカスタマイズし、インタラクティブなサービスを始めようとしているという。その中には、毎回見ているTVシリーズを見落としてしまったときの悔しさを埋め合わせるようなものがあるのだとか。またYahoo専用の映像コンテンツを作る考えもあるそうだ。
 
またYahoo Newsを整理拡充し、ニュースに豊富な関連情報をあわせて紹介し、また、更に使い勝手を改善し、より多くのユーザーを満足させようと考えているとのことだ。
 
 
============================

日本のヤフーはまたやや別の道を歩んでいる。アメリカとの大きな違いの一つは、”ヤフオク”(ヤフー・オークション)だろうか。アメリカでは、eBayがオークション市場をリードしているが、同社は日本から既に撤退している。eBayが本格開拓に力を入れようとする前に、ヤフーが(そして国内ベンチャーであるDeNA社のビッダーズが)マーケットをほぼ固めてしまった。(eBayのサイトを見ると、各国のeBayサイトへのリンクがあるが、先進国の中で、日本(Japan)だけが見当たらない。)

また日本では、楽天市場を追いかけてオンライン・ショッピングにも力を入れているようだ。アメリカでは、この分野にはどんどん取り扱いを拡大しているAmazonがいる。(とは言え、楽天とAmazonとでは大分ビジネスモデルが異なる。日本のAmazon.co.jpは、アメリカのAmazonの品揃えには遥かに及ばない。)

 
アメリカで生まれたオリジナルをベースに日本人、日本企業が改良を加えてより優れたものにするという事例は枚挙に暇が無い(私が最も最初に思い出すのは、セブンイレブン・ジャパン(イトーヨーカ堂)とサウスランド社の例)が、これもそうしたケースにあてはまるようだ。

時代が変わり、人が変わっても、イノベーションはアメリカのものなのか? 当ブログの前回、『創造性の時代が来た!』でもご紹介の通り、アメリカの超優良企業は、社員の創造性開発に力を注いでいるという。ソニーがかつての輝きを失った今、ベンチャーの時代が来ているようには見えるが、次にソニーのような企業が生まれるのはいつだろうか。
 
 
 
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Thursday, August 04, 2005

創造性の時代が来た! (デザイン戦略の重要性)

Get Creative !

~ Business Week, Asian Edition, August 8/15, 2005 p.40


 
「創造性」が企業生き残りの鍵だと言う。今までもそうだったのではないか、と思わないでもないが、実際、P&GやGEは、従来以上に、徹底的に創造性開発・発揮に力を入れているという。ついこの前までシックス・シグマであらゆる領域でぎりぎりまで質を上げることに打ちこんでいた企業人たちは、新しいものの考え方に順応しなくてはならない。

ナレッジ・エコノミーの時代は終わり、クリエイティビティ・エコノミーだという。単純な生産活動のような廉価な労働力に負う仕事だけでなく、品質のように、知識と左脳を用いる、いわばデジタル的な業務さえも、アジアや東欧へと移りつつあって、アメリカ(や先進国)はますます、右脳を用いた創造性に基づく業務に注力せざるを得ない。

ゲームは変わった。創造性、想像力、そして、革新性、がますます求められる。”デザイン戦略”こそが次のキーワードだ・・・
 
 
 

というわけで、誌面では、従来・旧来の製品・サービスが、創造的・革新的な企業のもとでどのようにして生まれ変わったか、幾つか例をひいて紹介している。その中には、①伝統的なコットンのモップがP&Gの手で生まれ変わった例、②従来の店舗型のレンタルDVD/ビデオ店と、Netflix社によるオンラインDVDレンタル(月額プランで月間枚数が決まる)、そして③従来の雑然としたPC及びソフトウエア販売店と、アップル社による洗練されたアップル・ストアの比較、などが挙げられている。(ちなみに日本でのアップル・ストアは、4番目の渋谷店が今日、グランド・オープン)

P&Gのモップの例では、P&GがIDEO社の協力を仰いで、徹底的にユーザーの視点から検討を尽くしたという。IDEO社については、このブログで前回も挙げたが、世界最強のデザイン・ファームとの呼び声が高い。数年前に深澤直人氏が六本木でIDEO Japanの代表をお勤めだった際に、私は新製品開発にあたってのデザインの件でご相談に伺ったことがある。色々と制約もあるので今でもまだ少ないと思うが、最先端医療機器にデザイン(単なる見た目の良さだけでなく、利用者の使い勝手向上や誤使用防止、そして受診する患者の安心感などにも配慮するという目的)を持ち込もうとする画期的な挑戦だった。その際に氏からIDEO流のデザイン企画作業のロードマップについて説明を受けたが、その中心は、まさに徹底的にユーザーの使用経験を洗い直すというようなものだった。まさにこれぞマーケティングだ、という思いを強くした記憶がある。

記事によれば、韓国のサムスン社は、IDEOに社員を送り込んで交流している(いた)ようだ。前回、サムスンが製品デザインの領域でも非常に躍進していることをお伝えしたが、こうした活動がベースにあったというわけだ。

ますます、ユーザーの視点が重要となる、というのが記事の主な論調のようだが、IDEOのような企業でそうした取り組みはまったく新しいものではない。こうした考え方、アプローチが、そうした一部の専門企業だけでなく、あらゆる企業によって、取り込まれざるをえなくなるということだろうか。出来ている企業は既に勝っているということだろう。


関連記事として、58頁からは、ビジネス・スクールもこうした変化に対応し、デザイン・ファームなどと共同プログラムやコース、あるいは授業を始めつつある事例(スタンフォード大学など)も採り上げられている。(”Tomorrow's B-School? It might be a D-School”) 確かにMBAプログラムには、創造性そのものを育むような、あるは大きく刺激するようなクラスはあまりない。(というか、少なくとも私のところには無かった。)


さて、同じくこの創造性特集では、優良企業のシニア・エクゼクティブにアンケートした結果ということで、世界で最も”革新的”と考えられる企業のランキングも掲載されている。日本企業は、2社が選出された。もはやイメージのみか?、とう感じもなきにしもあらずだが。そして、サムスンも入ってきている。


1. Apple
2. 3M
3. Microsoft
GE
5. Sony
6. Dell
7. IBM
8. Google
9. P&G
10. Nokia
11. Virgin
12. Samsung
13. Wal-Mart
14. Toyota
15. Ebay
16. Intel
17. Amazon
18. IDEO
19. Starbucks
20. BMW


このアンケートの得票率というのも出ていて、今週、CEOスティーブ・ジョブズ氏自らが来日してiTunes Music Storeの開業をアピールした首位のアップル社は24.8%で、二位3M社(”Post-It”が有名)の11.8%の実に倍以上となっている。なお、第三位のMicrosoftとGEは、それぞれ8.5%。

 
 
<関連書籍>

今日は、まず、日本のインダストリアルデザインの第一人者、栄九庵憲司氏の本。氏は日本の有力デザイン・ファームであるGKデザインの創始者のお一人で、現在は会長をお勤め。GKデザインは、キッコーマンの醤油さしなどで有名。

インダストリアルデザインが面白い - 第一人者が教える”モノに命を吹き込む”極意』 KAWADE夢新書 栄九庵憲司・著、河出書房新社・刊 700円 


続いてもう一冊は、創造性を鍛える一助となりそうなものから。

コリン・ローズの加速学習法実践テキスト - 「学ぶ力」「考える力」「創造性」を最大限に飛躍させるノウハウ』 コリン・ローズ・著、ダイヤモンド社・刊 1,890円
 
 
 
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こちらもどうぞ
 
英語上達の道 2010/01/188 2010/02/07
 
 
 
 

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Wednesday, July 27, 2005

韓国企業は製品デザインでもリード?

 
The Best Product Design of 2005
 
~ Business Week, Asian Edition, July 04, 2005


ビジネス・ウイーク誌による毎年恒例のデザイン・アウォードが公表された。この中で特筆していいのではないか、と思われることがあった。

プロダクト・デザイン、と言われて連想する国はどこか? デザイン・ファームや国際優良企業のデザイン・スタジオが西海岸に集まるアメリカ? 言わずもがなのイタリア? 芸術の国フランス? 或いは北欧諸国辺り?

これはあくまでも一つの結果でしかないし、他の賞を見たらまた別の結果かもしれないが、このビジネス・ウイークのデザイン・アウォードを2000年以降、今回2005年までの6年間、最も多く受賞している製造業企業は、韓国のサムスンだ。(ちなみに、デザイン・ファームの部門で第一位は、あの深澤直人氏がかつて在籍したIDEOで、他を圧している。)

サムスンは過去6年間、実に19の製品が表彰されている。以下、企業部門には、アップル、IBM、Nike、HP、Philips等が続く。

日本企業は? 過去6年間、6つ以上表彰された企業は16社(うち2つは大学)あるが、その中に日本企業はない。(5個以下は、リストアップされていない。) もちろん、このランキングがすべてではないが、余りにも差が開きすぎではないか?

サムスンをはじめ韓国企業とは、価格競争力だけの企業とか、日本の二番煎じ、などと思っていないか? 実はデザインでも高く認知、評価されているのだ。(サムスンの今年の受賞は、銀2、銅1の計3だった。)

かつて日本がもはや価格競争力で勝負できなくなったときに、これからは技術とデザインだ、と言われた。技術では、まだなんとかトップクラスだ。デザインはどうなのか? 世界に問えるものが出せているのか? 

前々回(『官民一体でリードする韓国IT産業』)に続き、韓国企業の優れた実力を垣間見た特集記事だった。

なお、今年の受賞作の中で日本企業絡みなのは、東芝のラップトップPCをベースにデザイン・ファームが造ったものが一つあって、これは金賞受賞作となっている。(これが、雑誌の表紙にもフィーチャーされている。)

また、デザイン・ファームの作品の中に、チームの一員として、日本人の方のお名前も見受けられた。


今年の表彰作品から幾つか挙げておく。


金賞

SHIFT Bike”   Purdue University

Nike Considered Boot”   Nike


銀賞

Jeep Hurricane”   Daimler Chrysler

iPod Shuffle”   Apple Computer
 
 
銅賞

iXi Bike”   iXi Bicycle

Miniket Camcorder”   Samsung

 

  
iPod関連の書籍。

こだわる大人のiPod - ワンランク上の使いこなし&グッズ』 出雲井亨 日経BP社 ISBN : 482222712X \1,260-  

 
Nike関連の書籍。

スポーツ・ブランド - ナイキは私たちをどう変えたのか?』 松田義幸 中央公論新社 ISBN : 4120033864 \1,995-

  
最後にIDEO関連の書籍を。

発想する会社 - 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』 T.ケリー/J.リットマン・著 早川書房 ISBN : 415208426X \2,625-
 
 
 
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Sunday, July 17, 2005

官民一体でリードする韓国IT産業

HONING ITS DIGITAL GAME

~ Business Week (Asian Edition) July 18, 2005 p.16-


世界でも屈指のインターネット先進国ともいわれる隣国、韓国の話題。同国では4分の3の家庭がブロードバンド接続をしており、4,800万の人口のうち80%が携帯電話を所持しているとのこと。ただこうした先進度合いは、どんどん他国がつめよって差を縮めてきている。

そこで政府がイニシアティブをとって、ブロードバンドとワイアレスに関する”IT839”という大プロジェクトを開始したのだそうだ。839とは何か???
 
 
 

 
”8”は8種類の新規サービス、”3”は3種類のインフラ整備、”9”は9種類の新機器を意味するのだそうだ。

で、このプロジェクトの特徴はなんといっても官民一体。2010年までの累計で総事業規模700億ドル(約7.8兆円!)にも達するとされるこの一大プロジェクトは、国営のElectronics & Telecommunications Research Institute (ETRI)(≒電子通信研究機関)という組織がイニシアティブをとり、サムスンやLG等々の有力民間企業が参加する形になっている。ここで働く1,500名のエンジニアは、国から給料を支払われるものもいれば、民間企業から支払われるものもいる。(アメリカではこの分野における官の協力が非常に少ないそうだ。)

ETRIの役割は、基礎的なコア技術の開発であり、それをグローバル・スタンダードへと育て上げることだ。こうした技術が参加している民間企業へと移転されて最終的な製品開発へと結びつく。

携帯電話はその中でも重点が置かれていて、デジタル・マルチメディア・ブロードキャスティングという技術による携帯電話を利用したTVの視聴が始まっている。

また、RFID(Radio Frequency Identification)(≒無線周波数によるID識別)技術の開発・実用化にも非常に熱を入れている。このRFIDのリーダーは、韓国では来年にも携帯電話に組み込まれると言われていが、これによってまた色々なことができるようになる。

韓国では900MHzの周波数帯を、物流のトラッキングの他に携帯電話のために既に割り当てていて、これを利用して何百という数の携帯電話が一つのラジオチップから同時に情報を読み取ることが可能になる。しかも従来よりも距離のある場所からも可能になるのだそうだ。

この技術、在庫管理の分野では欧米でも実用化されているが、韓国はこれをどんどん推し進め、軍の弾薬等や、輸入牛の管理などにも応用しようとしている。

また、RFIDは、USN(Ubiquitous Sensor Network ユビキタス・センサー・ネットワーク)という”IT839”の3つのインフラ・プロジェクトの一つとも関連している。またこれはIPv6(インターネット・プロトコル・ヴァージョン6)とも関連している。ちなみにIPv6が、3つのインフラプロジェクトの二つ目だそうだ。

そして三つ目は、韓国が最も重視するブロードバンド技術に関するものでBCN(Broasband Convergence Network)と呼ばれる。これはワイアド(ワイアレスでない)システムとワイアレス・システムを、また電気通信事業と放送事業を統合してしまうものだそうで、企業も組織も個人も、同じ一つの”パイプ”を通じて、音声、テキスト、画像、映像をやり取りすることができるようになる。スピードも現在の(ブロードバンドの)少なくとも50倍!になるそうだ。

もちろん、他国も負けてはいない。官の協力が韓国には遠く及ばなくとも、アメリカではVisaカードやアメックス(American Express Card)がRFID技術を活用したカードを全国展開すると発表した。またモバイル・デジタルTVの分野、欧州ではノキアが、アメリカではクアルコム社がイニシアティブを取ろうとしている。

一方、欧米の巨大メーカーは、韓国を自社製品の実験場として用いようと考えているようだ。6月にはインテルが韓国企業と提携、3月にはマイクロソフトが同社にとって初めてのワイアレス機器に関する研究所をソウル市内に設立した。マイクロソフトでは、韓国は理想的な実験場、としているそうだ。またキャスピアン・ネットワーク社(Caspian Network Inc.)はETRIと直接提携し、次世代ルーター開発に乗り出したそうだ。

韓国はもうしばらく、先頭を走り続けるかもしれない。

============================

この記事の中に、Japanという単語は一度たりとも出てこない。もちろん、アメリカの雑誌が自国との対比の中で書かれた記事だということもあるが、しかし今までなら、この手の話題なら少しは日本のことに触れられることが殆どだったはずだ。いよいよ影が薄くなったのか? かの国は日本よりブロードバンドとワイアレスの両面で進んでいる、という話はよく耳にしていた。コンテンツで韓流に一方的にやられていて、ハードウエアやシステムでも追従することになるのか?

先日もボーダフォン(日本法人)の社長さんが、日本の携帯電話事業のおかしな点をプレゼンテーションなさったとのことで、いかに韓国などの後塵を拝しているか、しかも変な方向へ行こうとしているか、というような内容だったとのことだ。(ちなみに私はボーダフォンともその社長さんとも一切関係ありません。)

参考:
「日本が世界市場から学ぶべきこと」 ボーダフォン 津田社長 (Yahoo News)

ワイアレスジャパン2005 「ここが変だよ 日本の携帯」 (ITmedia)


ETRI のサイト(英語)を見ると、ロボット関連の研究に関わる記事もある。プロジェクト名はURC(Ubiquitous Robotic Companion)だそうだ。


別に韓国に負けてはいけない、とか世界をリードしなくてはならない、とかいう問題ではないけれど、韓国のやり方に見るべきものがあれば、それを参考にしてもいいのではないですか? 個別の技術云々というよりもむしろ国家としての戦略を。
欧米に習うことは仕方なくても、他のアジアの国にそうすることには抵抗があるんでしょうか。もうそういう時代じゃないでしょう。アメリカばかり見ていても、アメリカ、特に企業はもう韓国を見ているのかも。相思相愛だと思っていたら、相手の愛はとっくにさめて、他に移っていた?


関連図書:

『韓国のデジタル・デモクラシー』 玄武岩・著 集英社新書 ISBN 4087203018

『「電子政府」実現へのシナリオ~「ネット先進国」韓国に学ぶ』 廉宗淳・著 時事通信出版局 ISBN 4788704528

『韓国企業モノづくりの衝撃 ヒュンダイ、サムソン、LG、SKテレコムの現場から』 塚本潔・著 光文社新書 ISBN 4334031692

『サムスン 高度成長の奇跡 - 李健煕10年改革』 キムソンホン、ウインホ・著 ソフトバンクパブリッシング ISBN
479732709X
 
 
 
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Wednesday, June 08, 2005

利益が生まれるフラワー・ビジネス

A More Profitable Harvest

BUSINESS 2.0 誌、May 2005 (Vol.6, No.4) p.66-


アメリカの生花販売ビジネスで目覚しい成功を収めているというProFlowersの話。この分野では1-800-Flowers.comが有名なのだと思っていた。勿論、名前が示す通り、電話での発注を前提に事業を開始した会社だ。(“1-800”はアメリカのフリーダイヤル) こちら、ProFlowersはネット時代に出現したので、それ故のアドバンテージもあるか。よくある話のようだが、基本を踏まえた事業でヒントにも富んでいると思ったので採り上げてみる・・・

 
 

 
(以下、要旨)

無料のeグリーティングカードを提供しながらお金を儲ける方法は? 簡単至極。一緒に花を売れば良い。

ジャレッド・ポリス(Jared Polis)氏は自身の大人気サイトBlueMountainArts.comに加え、1998年にProFlowersを始めた。そこで彼は、eグリーティングカードのユーザーに対して、無料eカード付きの花を簡単に贈ることのできるサービスを提供することで、それまでは何も支払うことのなかった顧客から収入を得ることに成功した。

以来、ProFlowerは、FTD、1-800-Flowers.comに次いで、全米第三位の生花販売店までになった。しかし特筆すべきは規模ではなく、効率性だ。ProFlowerは1億2900万ドルの売上に対して利益は2000万ドル、すなわち15.2%に達する。これは競合他社の倍以上なのである。

これはムダを削ぎ落とした物流システムによる。生産者から消費者の元に届く時間が従来の半分程度でコストも低い。こうした効率性は鮮度の良い花を安く届けることを可能にした。(そして同じシステムを用いて肉や果物等々を別のウエブサイトを通じて販売し始めた。)

こうして、世界で最も急速に成長するこの生花店は、昨年だけで新規顧客を100万人も獲得した。


①種まき

ポリス氏は本業のeグリーティングカードに便乗してキャッシュを生むことの出来る事業を探していた。そこで目にとめたのが190億ドルの規模を持つ生花販売業界の非効率さだった。彼は生産者と消費者を直接結びつける流通網を試みた。手始めに、あるバラの生産者と契約し、500ダースのバラを確保、シンプルな発注システムをBlue Mountainに組み込んで、1998年のヴァレンタインデイにバナーを貼った。バラは間もなく完売し、システムが機能することを証明した。


②仲介者を外す

基本的な仕組みが出来上がり、次に物流システムの強化に着手した。競合するFTDや1-800-Flowers.comでは、生産者からディストリビューターやホールセーラー、地元の生花店らの手を介して消費者の手元に渡るため、8~12日が経過してしまう。ProFlowerでは、各地の生産者自体をディストリビューターとして取り込むシステムを作り出した。生産者は受注から、メッセージカードの添付に至るまですべてをこなす。


③ 客の手に届くまで

国外で栽培された花は、ProFlower本体がマイアミで運営する冷蔵物流センターに一旦送られる。そこで従業員が品質を確認した後、全米に12箇所ある地域物流センターへと送られ、そこから宅配便で消費者へ配送される。こうした効率的な運営がコストを抑え、競合に比べ消費者への価格を30~50%低く抑えることが出来ている。2ダースで30ドルという廉価のバラはProFlowerにとっての最も重要な商品の一つである。


④ 資源の効率的活用

ProFlowerはコスト削減に極めて熱心である。消費者への配達を宅配便業者(FedExやUPS)に外注していることや、リアルタイムで販売をトラッキングして在庫管理に活かす独自の需要管理システムなどもその例である。また比較的大規模な生産者と提携することで安定的な供給の確保に努めている。そして全部で140人という少ない従業員の一人当たり売上は年間92万ドルに達し、これは1-800-Flowersのおよそ3倍に当たる。


⑤ 成功の薫り

花を発注した顧客は、ProFlowerからeメールを受け取り、花が現在どの段階にあるのか逐一報告を受ける。迅速に配送される花は、贈られた人の元でより長く咲き続ける。細かい配慮が顧客のローヤルティを高め、リピート・オーダーは昨年の売上の実に半分以上に達した。"

(要旨、終)


世の中、まだ非効率が当たり前のこととして放置されていることがあるのではないか、と考え直してみたくなる。

ポリス氏は現在ではProFlowersの事業を創業当時からの盟友のビル・シュトラウス氏(Bill Strauss、現CEO)に委ねている。また、ウエブサイトをざっと見た限りでは、ProFlowersとBlueMountainArts.comの関係性や連動性は正直よく解らなかった。元々シナジー効果を狙ったのが発端だったが、ProFlowerのビジネスモデルが確立するにつれ、徐々に独立性を高めていったようだ。

なお、ProFlowersはブランド名で、これを展開する企業は、Provide Commerce 社で、2003年12月に株式公開もしている。傘下にて同じビジネスモデルを用い、別ブランドで青果と精肉を扱っている。

またポリス氏は地元(?)コロラドで基金(Jared Polis Foundation)を設け、若者の教育や地域活動に貢献されているようだ。
 
 
 
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Saturday, May 28, 2005

ウォーレン・バフェットの知られざる帝国

Warren Buffett's Invisible Empire

~ Business Week, Asian Edition, May 30, 2005, p.52-53


世界有数の資産家にして、その座へと自身を導いたヴァリュー投資の分野で帝王とも呼べるウォーレン・バフェットについての記事。彼のバークシャー・ハサウェー(Berkshire Hathaway)社は傘下に多くの優良企業を抱え、また株価が低位に放置された数々の優良企業の株を保有する(投資する)ことでも知られる。そしてあまり知られていないが、その中には不動産販売会社もあったという記事。
サブタイトルには“Surprise ! He controls the country’s second-largest realty network, HomeServices”とある。”Surprise !“なのだ・・・

 
 

 
(以下、要旨)

“ウォーレン・バフェット氏はもう何年にもわたって私達に様々なものを売ってきた。アイスクリーム(Dairy Queen)に下着(Fruits of the Loom)、塗料(Benjamin Moore)、そしてフライパン(The Pampered Chef)、さらにはカーペット、家具、保険、等々。実は、これらに加えて、彼は我々に家まで売っていたのだ。

2000年以降、バークシャー・ハサウェー社では静かに着々とアメリカで第二位の規模の不動産仲介ネットワークを築き上げてきた。これはミネソタ州ミネアポリスに本社を置くホームサービシズ(HomeServices of America Inc.)社で、バークシャー・ハサウェー社傘下のミッドアメリカン・エナジー・ホールディングス(Mid-American Energy Holdings)社の子会社である。ホームサービシズ社は全米に357の拠点と18,600名のエージェントを抱えている。昨年、販売した物件の総額は600億ドル(約6兆円)に達し、そこからの会社としての売上が17.5億ドル(約1,800億円、対前年比+19%)、利益は1.3億ドル(約135億円、同+15%)だった。 (業界一位はNRT社で、全米に999拠点、販売物件の総額は2,050億ドル)

ここに至るまで、最高責任者のロナルド・J・ペルティエ(Ronald J. Peltier)氏は、バフェット氏自身がヴァリュー株投資で実践しているルールを用いてきた。年間に4から6の不動産仲介チェーンを買収するが、“売出し中”とタグがついているようなものには目もくれず、各地域でNo.1またはNo.2の地位にあるようなプレーヤーだけを追いかける。そして買収後も、それまでの経営陣がすすんで引き続き経営にあたりたいと思うことを重視する。それでも買収にあたってプレミアムを払うことはない。そうでなくては、彼のボス、ウォーレン・バフェットは満足しないのだ。

ホームサービシズ社があまり世間で知られていない理由の一つは、買収した各地元企業の名称を変えずに残すことにある。これは売る側の安心感にも繋がる。その結果、同社は現在18の州で、17の社名で事業展開している。対照的に業界一位のNRT社は1997年以来、統一ブランドを用いている。ペルティエ氏は、こうした不動産ビジネスは地元(土地、人、慣習等)に根ざしたものなので、ローカル・ブランドの方が効果的だと考えている。

NRT社に比べ規模は小さいものの、クロス・セールスは多い。昨年、家屋の販売ではまだNRT社に大きく水をあけられているが、保険などの関連サービスの販売件数ではほぼ拮抗している。このようなホームサービシズ社のワンストップショッピング方式は、バフェット氏が買収する前から始まっていた。ペルティエ氏が1977年にミネアポリスでトップだったエディナ不動産社に入社し、以後、このクロスセールスを推し進め会社の成長に貢献したのだった。

ペルティエ氏は1992年に同社のトップに就き、ミネアポリス地区の外へと進出した。彼は当時から、不動産販売業界は非常に細かく分散しすぎていて、統合が促進されるべきだと感じており、その推進に協力してくれる出資者を捜し求めた。その結果、1997年、ミッドアメリカン社と出会った。そして各地で買収した企業を傘下へと収める持株会社、すなわちホームサービシズ社を立ち上げた。バフェット氏がミッドアメリカン社の株80.5%を買収したのは2000年のことで、当時、ホームサービシズ社の売上は4.7億ドルに過ぎなかった。ペルティエ氏は言う。“バフェットは我々の戦略の確かさに目をつけたのだ。”

ペルティエ氏は業界内の統合の動きをリードした。1990年に業界の上位500社は全住宅販売の15%を占めるにすぎなかったが、これが最近では30%に達している。個々の小規模業者にとっては重荷になるIT投資の負担増大なども、こうした統合の流れを後押しした。その意味で近年はホームサービシズ社にとっては買手市場とも言える状況であり、ペルティエ氏は近年、全米で成長率第五位のノース・キャロライナ州、さらにはニュー・イングランド地方、フロリダ州北部、米国北西部諸州での拡大に力を注いでいる。

身売りする側にとってのメリットは、家族の名前に由来することも多い自身の看板(ブランド、企業名)を降ろす必要がないことに加え、マーケティング、コミッション政策、さらには成長戦略に至るまで事業の裁量が広く認められている点がある。これはホームサービシズ社とバークシャー・ハサウエー社の関係と同様である。ペルティエ氏はバフェット氏や親会社のトップに頻繁に報告を行うものの、自身のプランを自らの手で実行する裁量が許されている。

こうして統合を進めることでIT投資の負担を広く薄く分散することができるし、また保険等関連商品の知識やクロスセールスのノウハウの共有などが可能となり、より効率的なビジネスが可能になる。

もし、この不動産ビジネスでナショナル・ブランドというものが重要視されるようになってきたら、ペルティエ氏の戦略は試練を受けることになるかもしれない。若年購買層はますますインターネットを利用してリサーチを行うようになっており、全米に拠点を持つナショナルブランド企業がウエブ上で大々的なサイトを展開してくると、ローカルブランドは不利になる。消費者は一般的には業者をブランドネームでは判断していないものの、変化の兆しは見られる、という意見もある。

近年の住宅市場は過熱気味であり、ホームサービシズ社もその恩恵を受けてきた。但しこの活況も何時転機を迎えるともしれない。だが業界の専門家らは、こうした起こりうる市況の鈍化は、同社のように長期にわたって実績を残してきた企業に利するだろうとしている。住宅販売ブームに乗って躍り出た新興業者こそ足元をすくわれるだろうというわけだ。またペルティエ氏に言わせれば、そうした局面も同社にとっては良い買収機会ということになる。

バフェット氏も4月の年次株主総会で同じような発言をした。“もし、ある種の(不動産)バブルというものが本当に存在し、しかもある時点でそれがはじけるようなことになれば、潤沢な資金を持つ我々にとっては好都合なことになるだろう。”

不動産販売の領域でバフェット氏にかなうものはほとんどいそうにないようだ。“

真に価値のある企業(株)を可能な限り安価で買い求める、というヴァリュー投資の姿勢はバフェット氏の事業のあらゆる分野で徹底されているようだ。(氏の投資手法・哲学については数々の書籍が出版されているし、中には氏自身の言葉を集めたものもある。) 氏が数年前のITバブルの頃に、自分に理解できないものには投資しない、という規律を徹底的に守り通して、IT業種の株を一切持とうとせず、その結果、バブル崩壊局面を無傷で切り抜けたということはまだ記憶に新しい。このアメリカの住宅・不動産販売もバブルと言われて久しいが、今度のケース、氏は十分にビジネスの仕組み、ホームサービス社のビジネスモデルを理解し、だからこそ買収し、そして何が起こってもむしろ逆にチャンスへと転換できるということだろう。
 
 
 
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Saturday, May 21, 2005

トヨタ、危険な販売奨励金に乗り出す

"Toyota's risky ride in the incentive lane." ~ Business Week, Asian Edition, May 23, 2005 p.42

つい最近、二年連続で連結純利益が1兆円を超えたと発表した自動車メーカー、トヨタに関する記事。一方でトヨタがかつてはその背中を追っていたGM、Fordの凋落が著しい。いまや自動車業界のみならず、全産業を見渡しても日本を代表し、世界屈指の優良企業となったトヨタの大きな収益源、北米市場に死角はないのか???

 
 

 
(以下、要旨)

”先日、トヨタは2004年度の売上が1,718億ドル、利益が前年を7.3%上回る108億ドルに達したと発表した。トヨタにとっては再び素晴らしい一年となったわけだが、一方で第四四半期('05年3月期)だけを見ると利益は前年比17%減に終わった。

トヨタによれば為替の影響と新製品や工場設備がらみの費用がかさんだということだが、がむしゃらとも言えるシェア獲得努力が代償を迫っているのではないか。トヨタはここ数年、幅広い車種に対し販売奨励金(インセンティブ)を増額してきている。これは他社にプレッシャーをかけると同時に、自社の利益を損なう非常に危険なゲームだと評する人もいる。

日本車メーカーは従来、利益とブランドを傷つけるということで値引きの原資となるインセンティブには消極的だった。製品力も強く、あまりその必要にも迫られなかったが、最近、発売後年数が経った量販モデルの中には、デトロイトから価格競争を仕掛けられて、それに応ぜずにいはいられなくなったものもある。

例えばカローラは$1,000値引きしないと売れないという状況だ。これはトヨタ自身の若年層向けブランドである”サイオン(Scion)”に奪われているのではないかと指摘するアナリストもいる。

また、原油価格の高騰によるガソリン値上りで、大型のSUV(Sport Utility Vehicle)から顧客が離れていることもある。彼らは、乗用車をベースにした小型SUVに向かっている。

加えて、金利上昇局面にあって、ローンを組んだ顧客の支払負担を減らしてやる必要も出てきた。

一方、トヨタがシェア獲得に力を入れていることも明らかだ。この1年でトヨタはシェアを1.5%ポイント上げて、4月には13.3%とした。トヨタ・ブランド車の年間200万台販売という目標も1年前倒しして2007年にした。

トヨタは、実際のインセンティブはアナリストらが指摘するよりももっと控えめだと主張するし、明らかにGMなどに比べれば低水準だが、トヨタにとっては前年を11%も上回るものである。トヨタの動向は日産は勿論のこと、本田にも多少は影響を与える。

日本車メーカーはGMやFordに比べ、インセンティブに関しては自制をきかせている。単純に$1,000のインセンティブをキャッシュで提供するのではなく、キャッシュ部分を減らして無料オプションを加える、というような工夫もしている。

しかし、顧客は最終的に購入を決めるまでに、大きな値引きがあるのではないかと待ち構えるようになっている。

いくらキャッシュ・リッチとは言え、インセンティブ競争が加速すれば利益を損なうことは間違いない。”

トヨタはアメリカで若年層にアピールする製品が無い、と言われてきた。アメリカはトヨタ(そして全自動車メーカー)にとっての主戦場であり、このことも磐石に見える中の小さなアキレス腱の一つと言えなくもないのかもしれない。その答えとして用意したのがサイオンだったりするわけだが、記事中にはカローラあたりとのカニバライゼーションの指摘もあった。今後、いかにマーケティング展開してゆくのか注目される。

19日(木)夜のTV東京『ワールド・ビジネス・サテライト』ではトヨタの高級車専売チャネル”レクサス(Lexus)”(と迎え撃つ他の高級車ブランド)を取り上げていた。アメリカで、ホンダによる日本車初となった高級車チャネル”アキュラ(Acura)”を追って船出して以来、15年以上遅れて、というか15年以上の時間をかけて、いよいよ日本に登場のようだ。この番組を見た限り、日本でも一定の成功は間違いなく納めそうだ。J.D.パワー社(調査会社)による最新の初期品質調査の総合評価でも全自動車ブランド中1位とのこと。製品別でも高級車セグメント(Luxury)を制覇した。欧米の高級車市場で着実に地位を築きあげてきたレクサスがどんな姿を見せてくれるのか、興味津々である。
 
 
 
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